- 今日はよろしくお願いします! こんな場所にタバコ屋さんがあったんですね〜。不動産屋さんの物件情報ばかり見て全然気づきませんでした
- よろしくお願いします! そうでしょ〜、実はあるんですよ、この角に。天神エリアにきたら、ここで大体タバコを買うんです。こちらのオーナーの安部秀之さんは今泉の自治会長さんで、今泉の街の壁に絵を描くきっかけをくださった方なんですよ
- 西村 そうだったんですね〜、よろしくお願いします。安部さんは今泉にずっと住んでるんですか?
- ええ、生まれて62年間、ずーっと今泉よ
- 原田さん お店もずっとこちらなんですよね
- 西村 安部さんで何代目ですか?
- 祖父が大正元年に始めたから、私で3代目かな? 初めは染め物屋をやったり、戦中戦後は燃料屋もやったりしてたんよ。ちなみに、今立ってるこの場所は、昔海やったんよ
- へえ〜! じゃあ福岡市の中心部って随分埋め立てられて作られたんですね!
- そうそう、それからこの国体道路は元々川やったんよ。この辺りで潮干狩りができよったもんね。福岡で国体があった時に埋め立てて道路にしたから“国体道路”という名前なんよ
- 原田&西村 へ〜! おもしろい
- 今泉の歴史メモ 福岡県立図書館郷土資料課のHPで確認できる古い地図を見ると、確かに国体道路が通っている場所は川になっている。(香正寺や安養院などは今と同じ場所に。)また、福岡市HPの記録によると、昭和23年に開催された国民体育大会の際に埋め立てられて国体道路となったとのこと。
- 西村 安部さんは今泉の街をずっとご覧になってるんですね。昔と比べて、今泉の街はどう変わりましたか?
- 安部さん そうやね〜80年代のバブル以降、随分人が減ったな〜って気がするね
- 西村 そうなんですか! 今も賑わってる感じするけど
- 安部さん あとは、ずっと住んでる人も多いけど、新しくやってくる人もいる街やったし、繁華街と住宅街が混ざった場所やろ? その時々で変化はあるけど、なんとなく昔ながらのつながりは続いてるから、都会の中の田舎というか、下町の風情は残っとるよ
- 西村 なるほど〜「都会の中の田舎」か。下町という発想は意外ですね。けっこうおしゃれなお店とかも多いイメージだから
- 安部さん 祭りとか行事ごとやるときも、割と人が集まりやすいし、結束力も高いんんよ。裏の通りなんかは、以前はちょっと物騒な感じで、壁に落書きも多いし、あんまりイメージが良くなかったんやけど、それをアトブラの絵が変えてくれたんよ
- アトブラさんすごい! 良い関係なんですね〜
- 安部さんありがとうございます!
- 原田さん この通り、チカンやひったくりといった軽犯罪が多かったんですけど、壁画を描いて以降、嬉しいことに犯罪が減ったと言われてますよね
- 安部さん そうそう。この通りには名前がなかったから、『今泉一丁目アトブラ通り』という名称にしてはどうか?と申請したんよ。結局、壁画は無くなる可能性があるから、という理由で無難に『若宮神社南通り』になったんやけどね
- サッカーの絵を描いたのは僕なんです
- この絵がきっかけで、樋渡さんはアビスパ福岡のオフィシャルTシャツのデザインをしたんですよ
- 西村 すごい! 次につなげてますね〜。樋渡さんは元々アビスパのイメージでこの絵を描いたんですか?
- 原田さん そうなんです、最初怒られるかなーと思ったら、けっこう喜んでいただいたみたいで、意外な反応でした。樋渡くん、そういえばこの絵にタイトルとかあるの?
- サッカーの絵を描いてるけど、僕が好きなのは相撲なんです
- 一同 (笑)
- 原田さん これを機に、タイトルつける?
- うーん、なんか『大阪』って感じ?
- なんで大阪なん!福岡やなくなるけんやめてー!
- 樋渡さん …。(壁を触って絵と対話する樋渡さん)
- 西村 向こうの駐車場にも壁画、ありますよね
- 原田さん そうなんです、竹取物語がモチーフになってます
- 安部さん 今泉の祭で、毎年10月末の土日に『月華祭』というのをやってるんよ。その祭になぞらえて竹取物語の絵をお願いしたのがこの絵のはじまりやね
- かぐや姫は私が描いたんです
- へ〜よく見なくっちゃ〜。あっ…、めっちゃ車停まってますね…
- 原田さん 絵、隠れちゃってますね(笑)。ここの駐車場人気だからなかなか全貌が見れんのよ……
- 原田さん 次は『HONA CAFÉ』の入っているビルに行きましょう。そこの1階の壁画もアトブラが描いてるんです
- ここのパンケーキとフレンチトースト、美味しいですよね!
- 原田さん そうそう、パンケーキが有名で、週末にはよく行列ができてるカフェです。オーナーがアトブラの絵を気に入ってくれて、この壁画を描く際、許可がいるということで、紹介されたビルのオーナーで警固校区の自治会長をされている遠藤さんです
- こんにちは!
- 西村 こんにちは〜。よろしくお願いします
- 西村 かわいいな〜。モチーフがカフェっぽいイメージですね
- 原田さん オーナーさんの好きなひまわりの花を描いてください、という要望があって、それ以外はおまかせで描かせてもらったんですよ
- 西村 ファンシーなのに、突然茄子が描かれてるのがシュールですね
- お好み焼きのヘラみたいなのもありますね(笑)
- 遠藤さん あははは
- 安部さんや遠藤さんみたいな理解あるオーナーさんって珍しいと思うんよ。すごくありがたいよね
- 本当にご理解ありますよね、マンションの壁に絵を描いていいなんて
- お2人がいるおかげで、この界隈にアトブラの絵が増えていくんです
- 描いては増え、増えては消され、また増えたりね!
- 我々ご用命いただければどこでも描きに行きますので、またご指名ください!
- 遠藤さん よろしく!
- 原田&西村 安部さん、遠藤さんご案内ありがとうございました!
- こちらが『HONA CAFÉ』の入っているビルの1階に描かれた壁画。駐車場入り口左手のゴミ置き場に楽しい壁画があります。理解あるお二人とアトブラ・原田さんとの信頼関係がひしひしと伝わってくる時間でした。
- 西村 今泉にあるアトブラの絵と言えば、児童会館のピンクの大きな鳥の壁画が印象的でした。建物も絵もステキだったのに、無くなってしまって残念です
- あのピンクの絵は私の絵です
- 原田さん ボランティアの人たちに協力してもらいました。足場を組んで制作している様子をテレビ局のRKB毎日放送さんが番組の中で放送してくれたんですよ。今は建て直し工事をしていますが、その囲いにもアトブラのイラストが使われているので見に行きましょう!
- これ、私が原田さんをイメージして描いたロボットです
- ええ〜(笑) 原田さん、どのあたりがロボットなんですか?
- 脚を上下させるクセとか
- あははは
- ねえねえ、このロボット、脚…短くない?
- 西村 樋渡さんの絵は?
- 樋渡さん 僕の絵はこのマグカップ。自分で作る器を描きました
- 樋渡さん陶芸もやるんですね! 多才!
- 樋渡さんの作るマグカップ、ラーメン丼になるくらい大きいよね
- 大きいと便利ですから
- (笑)
- せっかくなので今泉のお隣、大名エリアの壁画も見に行くことに。 街中に壁画を描き始めたのは2007年、大名エリアの街中の落書き対策として依頼を受けたのがきっかけだった。
- 古着屋や個性的なショップが軒を連ねる紺屋町から少し入ったところに、アトブラ作、最新の壁画があるという。 壁画を求めて街を歩いていると、仕事でお世話になった人や顔見知りに会う。 街の規模が大き過ぎないから気軽に立ち話も生まれる。アトリエブラヴォにとって大名・今泉エリアはまさに地元。アットホームな場所がお気に入りだという。
- かわいい〜。ちょっとした動物園ですねー
- これ、ちょっとした仕掛けがあって、駐車した時にサイドミラー越しにドライバーさんと目が合うように動物をレイアウトしてるんですよ
- ナイスアイディア!
- 原田さん 2013年に大名アートウォークというイベントがあったんです。いろんなアーティストが大名の街中で壁画を描くというものだったんですけど、その時に九大の学生さんたちに手伝ってもらって描いたものです
- 西村 そうなんですねー。だけど当時の壁画って結構なくなってますよね?
- 原田さん そうですね。アトブラの絵も、上から落書きされたらその落書きを利用して、絵を継ぎ足して描いても面白いかなーと思ってるんです。落書きをしている人たちを単に否定するのではなくて、絵で対話することでコミュニケーションを図ることで変化が生まれるのではないかな、と。ただ、不思議とアトブラの壁画だけは落書きされないんですよ〜
- へ〜不思議ですね。絵を描く人にだけ感じる”結界”みたいなものがあるのかも。
- アトブラのみんなの想いが込められた絵にはなにか力があるのかな?と思うことがありますね。おかげで街の落書きが減った! とも言ってもらえますよ
- 素晴らしい〜!