- 今泉の街をポップに彩るアトリエブラヴォの壁画。アトブラメンバーの案内で、その壁画巡りを堪能する散歩に。メンバーの樋渡さんと高田さんも入り交じり、珍エピソードを聞きながらも、知られざる今泉の街の歴史に触れて…。アートや福祉に関わる原田さんにとっての今泉の街の魅力とは!?
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立ち話で刺激をもらう
- 大名の壁画を観たあと、再び今泉エリアへ戻ることに。
途中、アトリエブラヴォの知人の方々に会うわ会うわ。原田さんはその都度楽し気にお話をしていました。
- 原田さん、この辺じゃ顔ですね〜
- 原田さん そんなこともないけど、お世話になってる方はこの界隈で仕事をしてる人が多いんよ。アトブラのTシャツを作るにあたってお世話になった会社の事務所もこの先にあるんですけど…今日いるかな?(アポなしだったため、残念ながらオフィスには誰も居ず…。)
- 西村 原田さんはプライベートでよりもお仕事でこの街に来ることが多いんですか?
- 原田さん そうやね。今泉はクリエイターが多い街だから、歩いてると先ほどみたいに仕事でお世話になってる方に会ったり、話を持ちかけてくれる人に会う。今泉は天神よりは道も狭くて落ち着いた感じだから、立ち止まって話がしやすいでしょう? 仕事のことで悩んでいたら立ち話からヒントをもらうこともある!(笑)
- 西村 繁華街の側にありながら住宅街の雰囲気も併せ持っているから、人と人の距離が近いのかな?
- それはあるかもね。クリエイターがいる場所だから、クリエイターが集まって来てるし。僕にとって今泉の街は『創造の場』です
アンティーク家具を扱う「eel」へ
- ここで原田さんお気に入りのお店「eel」へ。フランス、オランダ、イギリスで買い付けた、ヨーロッパのアンティーク家具と雑貨を扱うインテリアショップ。住所は薬院だけど、今泉エリアすぐ側なのでお仕事の合間等によく立寄るんだとか。もちろん、こちらもアトリエブラヴォの活動へ協力してくれているお店。
- 西村 この味のある感じがたまりませんね。原田さん、ご自宅のインテリアはこちらで揃えてらっしゃるとか?
- 原田さん 僕のお小遣いではなかなかポンとは買えないものが多いけど、セレクトがすごく好きで、目の保養というか、インスピレーションをもらいに来てる感じです
- 西村 原田さんのお宅のテイストはこんな感じなんですか?
- 原田さん うちはどちらかというと北欧っぽい感じかな〜。古い平屋をリノベーションしたんです。あっ、このランプいいな〜
- 西村 いいなー!古い平屋!デスクランプ探してるんですか?
- 原田さん うん、作業机用にいいのないかなーって。古い木製のアイロン台を作業机にしてるから、合いそ…(値段を見て)うわ!じゅうななまん!
- えー!値札間違えてるんじゃないですか?
- こんにちはー
- 原田さん・西村 こんにちは〜
- 原田さん あのー、このランプ、おいくらですか?
- それ、いいですよね。17万円です
- 原田さん・西村 間違いじゃなかった〜!(笑)
- 原田さん垂涎のデスクランプは、フランスの「GRAS(グラ)」というメーカーの1930〜50年代頃のもの。巨匠ル・コルビジェも愛用したことで知られる貴重なもの。「eel」の2Fには、無骨でシャビーな商品がたくさん。最近人気のインダストリアル系のインテリアショップの草分け的存在だ。
- 島崎さん 同じ『GRAS』の1950年代頃のものでもこっちのデスクランプなら量産されていたのでもう少しお安いですが…
- ちょっと検討します……
- 原田さん 西村さん、何か気になるものある?
- 西村 この柵がいいな〜。これ売り物じゃないんですか?
- それは売り物じゃないです!
- 西村 やっぱり…(笑)
西村が気になったのはこの柵!売り物じゃないけどこれが家にあったらきっといい感じ。
1階には雑貨もたくさん。スタンプ好きの原田さん、オリジナルのゴム印をお買い上げ。
- 捺すとゴムの質感が出て、いい感じ。
みんな大好き!「肉のたまや」
- あのお肉屋さん、今泉自治会長の安部さんオススメの店ですね!原田さんは買い物したことありますか?
- 原田さん いや〜、それがないんです。安部さん、『たまやのピリ辛チキンは美味しいよ』って言ってましたね
- 西村 じゃあ小腹もすいたことだし、ピリ辛チキン、食べましょう! こんにちは〜
- いらっしゃい
- 生肉色の服に身を包み、優しい笑顔で迎えてくれた山本さん。
- 西村 あっ、お肉だけじゃなくてもつ鍋セットとかもあるんですね
- うちのもつ鍋食べたことないと? そりゃあモグリだなあ〜。スープも全部手作りして冷凍しとうけん、全国発送もやりよるし、大人気よ。美味しいよ〜
- へ〜食べたいなあ〜いいなあ、もつ鍋。お肉の色がきれいで新鮮ですね!
- 原田さん 通販もしてるんですね! 実は先ほど、自治会長の安部さんにピリ辛チキンをオススメされて来たんです
- ああ、ピリ辛チキンね。これ大人気。美味しいよ〜。片手にピリ辛チキン、片手にビール持って歩くのが、この“にくたま通り”のスタンダードやけんね
- ここ“にくたま通り”って言うんですか
- そうそう、前取材してくれたアナウンサーがつけてくれたと。にくのたまやの通り、にくたま通り!
- 通りの名前にしたくなっちゃうくらい、名物なんですね!
- ちょうど店を始めて40年よ
- 老舗なんですね!通りの名前になるのも納得です
- またゆっくりおいで〜
- 全員 はいっ! ごちそうさまでした。
「カフェソネス」でティータイム
- 原田さんおすすめのケーキどれですか?
- 俺に聞く!?(笑)
- (スタッフさんに向かって)じゃあおすすめのケーキ下さい
- スタッフさん はい、今日はチーズケーキですね〜
- 原田さん じゃあ僕もチーズケーキ下さい。高田さんは?
- 私はもう頼んだ
- はやっ!(笑)いつの間に!
- なんかカレーのいい香りがしますね。私だけカレーにしていいですか?
- どうぞどうぞ(笑)
- 原田さん 一番最初に、アトブラのライブペインティングをやらせてもらったのがここなんです
- 西村 そうなんだー! どこに描いたんですか?
- 原田さん そこの壁ですよ。最初に描かせてもらって、一度上からペンキを塗って、またライブペイントのイベントをやらせてもらったんよ。だから、この壁にはアトブラの絵が2枚重なってることになるんよ
- 西村 へ〜! ちょっとペンキが剥げて来てますね。お宝発掘的に絵が出てくると面白いですね。初ライブペイントがこちらというと、結構お付き合いが長そうですね
- 原田さん そうですね〜、この仕事を始めて、初めてのアトブラ作品展を2000年にやった時にオーナーの木下さんが見に来てくれたんです。『今度、Tシャツ展をやるから、アトブラも、どお?』って声をかけてくださって。当時はTシャツの作り方とかわからないから、どうしたらいいのかまで教えてもらって
- 西村 そういえばこの間、アトブラさんのTシャツを作ってるシルクスクリーン工房の『メッシュ』さんにお会いしました。工房案内してもらってたら、あれ?このTシャツ知ってるな〜って
- あっ、『メッシュ』さん、アトブラグッズたくさんあるでしょう? そういう職人さんたちを繋いでくれたのもソネスがきっかけだなあ。ここは僕にとっての『今泉の街』というものが集約されてる場所かもしれないです
- こんにちは〜
- 原田さん・西村 あ、木下さん! お待ちしていました。こんにちは!
- 原田さん 僕がずっとお世話になっているオーナーの木下さんです
- 西村 よろしくお願いします! 木下さんと原田さんの出会いが10年以上前というお話をうかがっていたところです
- 木下さん ライブペイントやってもらったり、ご飯食べに来てくれたりしてたよね
- 原田さん そうですねー。当時、それはもう忙しくて。遅い時間の帰りがけに、ご飯食べに来たら『疲れてないか?ちゃんと食べてるかー?』って、カレーを野菜カレーにしてくれて。すごく気にかけてくれたんですよ
- おー、私、その木下さんの優しさカレーをオーダーしました。でもきっと当時とレシピ変わりましたよね?
- そうやね〜、前よりおいしくなってます(笑)
- 西村 ソネスさんはこの場所で何年営業されてるんですか?
- 1998年からだから17年! もう20年近くやってますね
- 西村 もう長いんですね。その当時の今泉の街って、どんな様子でしたか?
- 木下さん まあ正直、柄が悪かったかな。いかがわしい店や人も多かったし。そんな中ここを選んだもんだから、だいぶ周りに心配されましたね
- 西村 よく『ここでお店やろう!』という気になりましたね、先見の明があるというか
- 僕自身は当時から、街が南下してくると思ってたんですよ。親不孝がにぎわってて、大名が盛り上がり始めてたタイミングだったから、これは徐々に南へ行くな、と
- すごいなー、見事に当たりましたね
- 今、ここは『このエリアに人を集めよう』という意思を持った人が集まって来てるでしょ? だいぶせわしない感じになってきましたね。勢いを増してるというか。でも完全に繁華街になり切るわけじゃなくて、下町的な良さがちゃんと残ってる
- 西村 お店の今後の展開としては、今泉の場所から離れることはなさそうですか?
- そうですねえ、ここに根を張りながら、他の場所へつながりを広げて行く、というのが理想かな
- 原田さん そういえば、ソネスさん佐賀大学の中にカフェ出店してるんですよね。まさに今おっしゃったことを形にしていってますよね〜。それにしても、なぜ大学にソネスを?
- それはね、三度の飯より女子大生が好きだったから!
- そうだと思ってました(笑)
- というのは、冗談で(笑)、以前学生とイベントでカフェをやったことがあって、学生と一緒に何かをやることの楽しさを知っていたから、ぜひ出店したいなと思ったんよ
- 原田さん 相変わらず、主催のイベントもたくさんされてますね
- 木下さん 主催もするし、参加もするし。5月31日の日曜に、薬院てんてん市があるんだけど、お店の前で一緒に、どうかな?
- また楽しそうなお誘いが!ぜひ参加させてください!
- 木下さん じゃあ、また改めて連絡します!
- 西村 『ソネス』は原田さんにとって休まる場所でもあるし、次のお仕事に繋がる場所でもあるんですね
- そうやね。このお店も今泉という街も、僕にとっては公私関係なく大事な場所です
- 木下さん 僕は次の打ち合せがあるのでこの辺で失礼…
- 原田さん・西村 木下さん、今日はお忙しい中ありがとうございました!
- 天気の良い春の午後、アトリエブラヴォのハッピーなアートに触れながら歩いた今泉の街は、人との繋がりが密だからこそ今の姿があるんだな、と感じました。古くからある街ならではのフランクさと、新しい風を受け入れてくれる懐の深さは、何かを作り出したいと考えるクリエイターにとって、居心地の良い場所なのではないでしょうか。imanuaが、クリエイターのシェアアトリエであるということも相まって、街全体が、楽しいことをやろう!とウズウズしているようにすら感じました。福岡の中心部の中でも、最もアツい街なのかもしれません。