- 本日の集合場所は門司港のランドマーク、JR門司港駅。駅舎としては全国で初めて国の重要文化財に指定された、ネオ・ルネッサンス様式の木造建築だが、残念ながら現在は補修中。しかし門司港駅が誇る文化財はこれだけではなかった…。
こちらは再現展示の洗面所。大正時代から設置されている水飲み場「帰り水」は今も健在。
ようこそ門司港へ! 今日はとっておきの場所にご案内しますね。
- ヨテコさんはかなりの門司港愛好家ということで、楽しみにしています!お持ちのバッグにはTOKYO HARAJUKU って書いてありますけど…
- ヨテコ いえいえ、門司のゆるキャラじーもくんとI ♥MJ(アイラブ門司)バッジも付けてきましたよ、気合い十分です!
HARAJUKU TOKYO バッグ。よく見るとじーもくんに加えヨテコ さんの信奉するマイケル・ジャクソンとみうらじゅんのバッジがキラリ。すべてのイニシャルがMJなのは偶然か、神のいたずらか。
- コウモト せっかくなので、 門司港で記念写真撮りたかったんですけど、改修中なんですね…。
- ヨテコ 水兵さんみたいな制服着た駅員さんがいますけど、どうですか?
- うわ、少女漫画に出てくる駅員さんみたいでめっちゃかっこいい…!あの若いかわいい男の子と撮りたい♥
- ヨテコ は~い、撮りましょう、撮りましょう。
- コウモト いいですね、門司港!いいです!
突然のお願いに快く応じてくれた、勤務1年目という駅員さん。さわやかな白の制服が似合うとっても素敵な制服男子でした。この制服は明治時代開業当時の制服を再現したものだそう。冬は黒の詰め襟を着用するとのこと。
- さっそく一行は次の目的地へ徒歩で移動。容赦のない真夏の陽射しに、吹き出す汗とともに、日陰を求めて歩いていたところ…
- ヨテコ 暑いですね~。栄町銀天街のアーケードで涼みましょうか。
- この辺りは昔ながらの商店街が残っているんですね。何だか懐かしくなるなぁ…あれ?あの写真館に飾られてるパネル、もしかしてヨテコさん!?
- ヨテコ わぁ~気づきました?そうなんです。
- コウモト ヨテコさん、2013年のミスポート門司なんですよね!
- ヨテコ そうですよ~。歴代ミスポート門司はみんなここで記念撮影をするんです。
デパガみたいな制服で、本格的ですね。
- ヨテコ 赤色が素敵でしょう。ミスのお仕事は、門司港の観光用トロッコ列車と全国各地から集まったゆるキャラのかけっこ大会のテープカットとか、門司港のPRイベントへの出席が多いかな。
- コウモト へぇ~!ヨテコさんかっこいい!
ヨテコさんは正真正銘のミスポート門司だった。その美貌は門司港も太鼓判!
写真館前にあったヨテコさんおすすめのガチャガチャ、素敵なツッパリグッズが当たる「ツッパリ★ブラック」にも挑戦!何が出るかな…
じゃーん!出てきたのは謎の魔法陣がプリントされた漆黒のリストバンド(スナップ着脱、ビニール製)。もう一つの景品、親指サイズのドスともにヨテコさんに進呈。
- アーケードを通り抜け、炎天下の中15分ほど歩きたどり着いたのは門老松公園横にある門司中央市場。色褪せて錆も目立つ看板が歴史を感じさせる。ヨテコさんに案内されるままさっそく中に入ってみることに。
門司中央市場入り口。看板や外壁からも歴史を感じる。
八百屋、魚屋、食料品店から古道具屋、仕立て屋まで地元の人々の生活に欠かせない店が軒を連ねる。
- コウモト うわー。いい感じのシャッターが…市場ですね!
- ヨテコ 昔からの地元の人たちの生活の場でもあるので、本当の意味でのレトロというか風情がありますよね。今では残っているお店も少ないんですが、そのぶんどこも個性的な面白い店ばかりなんですよ。
- ヨテコ なんかさっきからシャッターのあちこちにポエムが書かれてますね…
- コウモト そうそう、市場の中に何カ所も貼ってあるんですよ。
- コウモト アナログ発信なtwitterですね…
- …とポエムの前で立ち止まっていると、突然後ろから声をかける人が…
それ、結構目につきますか?
- コウモト 目につきますよー!誰が書いてるか知ってます?
…実は私が趣味で書いとるんよ。(ちょっと嬉しそう)
- コウモト そ、そうなんですね!
- 漬物屋さん やっぱり通る人は見てくれとるんや!シャッターばかりやとさみしいけ、こうやって飾っとるんよ。
当初は中央市場内の手芸店で展示していたが、同じく市場内の古本屋オーナーから提案されて通路への貼り出しを始めたそう。独特の視点と味のある書き文字で、次の貼り紙を見つけるのが楽しみになる。
- ヨテコ どうやって詩を思いつくんですか?
- 漬物屋さん お客さんと話とって感じたことを書いたりやねえ。facebookもあって、そこにも載せたりしよるよ。
- コウモト facebookをしているポエマーな漬物屋さん!新しい!
- ※永尾漬物店さん facebook ページ永尾漬物店さんに友達申請したい方は コチラ へ!
- おいしそうな漬物がたくさんそろう永尾漬物店は、SNSも駆使するハイテクな店だった。
- 驚くべきは、この市場の人々の人懐こさ。ちょっと足を止めればすぐに誰かが話しかけてくる。 ヨテコ さんいわく、門司港の魅力は「人の温かさ」。まるで自分のおばあちゃんの家に来たようなゆるさと懐かしさを感じながら、さらに案内してもらっていると…。
- ヨテコ ここに休憩所もあるんですよ。もちろん市場の誰かの手作りです。
すごい!ちゃんと花まで飾ってある!禁酒の貼り紙があるところが何ともいいですね。
- ヨテコ いいでしょう、中央市場。
- コウモト はい、なんだか落ち着きますね。ヨテコさんはよく来てるんですか?
- ヨテコ 月2〜3回くらい電車に乗って来ますよ。やっぱり一番アツいのはカレーショップひぐちさんです!今日のお昼はそこにしましょう。
何だか町内の公民館にいるような地元感と居心地の良さ。昼間から一杯やっているおじいちゃんも、ここの日常風景のひとつ。
- 時計も12時をまわり、そろそろお昼の時間。中央市場内にあるヨテコさんのとっておきの門司港グルメ、カレーショップひぐちへ移動。門司港裏レトロ、喫茶店の名に相応しい外観。窓を覆うレースのカーテンの向こうにはいったいどんな光景が…!?
UCCでなくBCC コーヒー、メニュー表の“スペッシャル”カレー、フ○○○−スの犬(版権がちょっと心配)の楽しげな絵など、ただならぬ存在感の喫茶店が目の前に現れた。
- ヨテコ こんにちは〜
- あら〜いらっしゃい※顔出NGのため、代役・ヨテコさん作ひぐちさん人形でお送りします
- コウモト うわーなつかしい雰囲気のお店ですね。いつからあるんですか?
- ひぐちさん もう40年くらいになりますね。古いでしょう、お皿とかフォークもその時からずっと使っとるものなんよね。
レトロなガラスのチューリップランプがかわいい店内。カウンター奥にある壜の中に入ったいかフライの値段を聞くと、「1枚70万円ね」との返答が。
- このスプーン、おばあちゃん家で昔使ってたやつだ!表のガラスに書いてある絵もいい感じですよね。
- パ○○ッシュの目がえぐられてますけど。
- ひぐちさん あの絵もね、40年前に書いてもらってそのまま。子供たちが爪で落書きして塗料が剥がれたりしとるけど、それも歴史の一部かなと思ってね。犬の目は直してやらんとなーとはちょっと思ってるんですけどね。
- ヨテコ 昔は市場を通るのにお互いの肩がぶつかるくらいの賑わいだったそうですね。
- ひぐちさん そうそう、今ではだいぶ人も減って寂しいよね。あの頃は子供もいっぱいおって、そこの老松公園で皆遊びよってね。私たち団塊世代が子育てする時代やったけね。(しんみり)
- コウモト でも、ひぐちさん、年齢よりずっと若く見えますね!
あらあら〜何もないけど、お冷やもっとどう?
- コウモト あ、お願いします〜♥
子供たちに目をくりぬかれたパトラッシュ。
- ヨテコ 実はこのお店は私がミスポート門司に応募したきっかけの場所なんです。
- コウモト ん?どういうことですか??
- ヨテコ 初めてここに来た日に、偶然隣に座っていたおじいちゃんから「あんた別嬪さんやけえ、ミス門司に出なさい」って言われたんです。
- コウモト 初対面の人にですか?
- ヨテコ そうなんです(笑)。で本当にミスに選ばれたんですけど、その後まだ会えてなくて…。会ってお礼を言いたいな。
- ひぐちさん 皆で応援しとった子が選ばれて、私たちもすごく嬉しいんよ。
- ミスポート門司の発表時には、ひぐちさんも駆けつけ応援してくれたという感動秘話も明らかに。ここカレーショップひぐちは、ヨテコ さんの思い出の場所であり、もうひとつの実家のような場所だった。
ナポリタンスパゲティーとカレー。どちらも350円と驚異のコストパフォーマンス。これぞ喫茶店の味!と嬉しくなる、懐かしい優しい味。デザートのクリームソーダ280円もおいしくいただきました。
入り口ドアに貼り出された謎のサマージャンボカレンダーは、知人グループでまとめて大口購入するのに使っているとのこと。
- おいしいご飯と楽しいおしゃべりに大満足したところで、次なる目的地に向うため市場の出口へ。すると待ち構えていたのは中央市場きっての有名店・渡辺食料品店のれい子さんだった。
ミスポート門司のヨテコさんに気づいたれい子さん、すかさず話掛けてきてくれた。
- れい子さん こんにちは、ミスポート門司の仕事はどう?
- ヨテコ こんにちは。ミス門司のお仕事、楽しんでさせていただいてますよ~
- コウモト あ、このお店、 リリー・フランキーさんのサインがある!!
そうそう、きんちゃくのマンガ描いてる人
- ヨテコ きんちゃくのマンガ(笑)。おでんくんのことですか?
- れい子さん あ、おでんくんね。前ここにリリーさんが来て、サインももらいましたよ。
- ヨテコ &コウモト えー会ったなんてうらやましい!
- れい子さん やっぱりね、絵を仕事にするのは大変だって言ってたね。うちの店はね、門司港元祖のミソだれ付き豚バラの赤みそを売っていて結構有名なんですよ。この前も東京の写真家が来てね、探検九州も取材受けたし。これは私の息子の絵なんですけどね…(と話が続く)
- ヨテコ &コウモト へぇ〜
- れい子さん 私はね、大分出身ですけどこの店と中央市場が好きなんですよね、こないだ熊本から観光で来た人いて、熊本もいいとこですよねって言ったんだけど。この隣の公園もこの前映画の撮影があったんですよ、芥川賞のやつね。作家さんがここへ来て、そこのラーメン屋にも行ってね。 けっこうこの市場が好きって観光に来る人いるんですよね…(と話はまだまだ続く)
- …じゃあ、ミスポート門司さんもねお仕事頑張ってくださいね。
- ヨテコ はい、ありがとうございます〜
- 次から次へと話題の尽きないれい子さん。20分ほどお話を聞きその場を離れた。
- コウモト なんだか、短時間ですごい情報量でしたね。門司に来た色んな有名人に詳しくなりました(笑)
- ヨテコ れい子さん、すごく話好きでノリもいいから取材もたくさん受けているみたいですよ。
れい子さん愛用のきんちゃくのマンガこと「おでんくん」のストラップ。
有名人や昔の店の写真などを見せてくれるれい子さん。どの話も根底にあるのは中央市場への愛と戦後の闇市時代に母が開いたという渡辺食料品店への誇り。
- 門司中央市場を堪能し、次は「門司に移住を決意した理由のひとつ」という門司区のゆるキャラ「じーも」に会いにいくことに。西海岸地区にある豪華客船の出港式に登場するらしいのだが…
きれいに整備されまるで外国の公園のような西海岸地区。
- コウモト ところで、ヨテコさんはじーものどこがそんなに好きなんですか?
じーもって伸びるんですよ。
- コウモト …伸びる???
- テンションがあがると身長が伸びるんです。1日2回が限界らしいんですけど、女子高生からの歓声があると回数が増えるという
- コウモト 姿形といい、なんかキャラ設定にアダルトな匂いがするんですが…
- ヨテコ もう絶対に確信犯ですよね(笑)。バナナとじーもなんですよ、門司港名物。
- コウモト そのじーも好きが高じて門司に引っ越しきたんですよね?
はい!(満面の笑顔)
炎天下のなかじーもの登場を待ちわびる2人。姿が現れたとたんテンションをあげて駆け寄るヨテコさん。この日、じーもは伸びませんでした…。
- ヨテコ やっぱりじーもはカワイイですね!!
- コウモト 動きが意外と機敏でびっくりしました。くるくる回ってるよ…。
海坊主のじーも。船を沈めるなど水難事故を招く水木しげるでおなじみの恐ろしい日本の妖怪のはずが、ポップなピンク色ののゆるキャラに。
- 刺すような陽射しの 猛暑日だったこの日。こんな日におすすめのかき氷屋さんがあるということで、西海岸地区から門司港駅を挟んで反対側の栄町銀天街に徒歩で移動した。
- ヨテコ ここは軽食もおいしいんですが、甘味が有名です。店構えも味わい深いでしょ
まさにレトロですね。
- ヨテコ かき氷メニューもいっぱいあるんですよ!(お店の方に)おすすめは何ですか?
- お店のおばさん うちはやっぱり、自慢の金時を食べてほしいね。ちゃんと大納言小豆から炊いてるから、やわらかくて味が全然ちがうんよ。
- コウモト 抹茶蜜も本当の抹茶の味がする!
- ヨテコ 毎日近所のお茶屋さんで買ってきた抹茶を使ってるみたいですよ。これぞ夏のおやつですよね。
- コウモト おいしい~しあわせ~門司港最高~
宇治金時と雪クリーム(みぞれの中にソフトクリーム入り)。昔から変わらない手作りの蜜、餡を使っており、氷の粒も小さくやさしい口溶け。
- おいしいおやつで身体を冷やしたところで、今回の門司港裏レトロ紀行も終了。案内人のヨテコ さんに今日のお礼をしながら駅に向かう。
- コウモト いや〜 今日はありがとうございました。かなりディープな門司港を知れて楽しかったです。
- ヨテコ 楽しんでもらえて良かったです。今日の記念に門司港みやげもセレクトしたので、良かったらどうぞ。
- コウモト わ!ありがとうございます〜!!開けてもいいですか?
ヨテコさんのセンスが炸裂してますね。
ヨテコさんからもらったじーもグッズと絶妙な空気を醸し出す門司港レトロ湯のみ。。。
- ヨテコ 妙に立体感のある“門司港レトロ”というロゴがポイントです。
- 本当はもっと案内したいところです!門司区の面白さは、まだまだありますから。
- コウモト まだネタがあるんですか?門司区、底が知れないですね…。近いうちにまたぜひ案内してもらいたいです!!
最後はベタに顔ハメで記念撮影。
- こうして終了した門司港裏レトロ紀行。町歩きが趣味というヨテコさんが惜しげもなく紹介してくれた門司港の隠れ名所は、どれもホンモノ。何より行く先々で会う人々の温かく個性的なキャラクターに圧倒されっぱなしの1日だった。忙しさで他人との世間話なんて最近してないなあという人は、ぜひ門司港で1日タイムスリップの旅を体験してみてほしい。きっと忘れかけていた大事な何かを思い出すはず…。