福岡市の陸の玄関口であり、九州最大のターミナル駅である博多駅。そのすぐそばに位置しながら、多くの人にとって通り過ぎるだけの場所となっていたのが、40年以上の歴史を持つ明治公園でした。今、この場所が、博多コネクティッドの進展とともに、「Park-PFI(公募設置管理制度)」によって、劇的な進化を遂げようとしています。
第34回「博多まちづくりミートアップ」のテーマは、「街と人を繋ぐ。明治公園の挑戦から学ぶ、これからのまちづくり」。ゲストに、このプロジェクトの最前線に立つ東京建物株式会社の北川雄大さんを迎え、博多の未来を左右するビジョンや持続可能な公園運営にかける想いを伺いました。
歴史あるデベロッパーが、“公園”に挑む理由
岸本:
博多駅周辺は今、ビルが次々と建て替わり、街の景色が凄まじいスピードでアップデートされています。そんな中で注目されているのが、駅のすぐそばにある明治公園のリニューアル。博多のまちづくりという観点で、非常に大きなインパクトを持つと考えられますが、このプロジェクトを担当するのが東京建物株式会社の北川雄大さんです。
北川:
本日はよろしくお願いします。
まず、東京建物についてご紹介させてください。私たちは、2026年10月に創業130周年を迎える、日本で最も歴史ある総合不動産デベロッパーです。オフィスやマンション、商業・物流施設をはじめ、大規模都市開発やリゾート事業など、幅広い領域でまちづくりに取り組んでいます。
”東京”建物ということで、「九州で何をやっているの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。実は、福岡でも20年近く事業を展開していて、マンション「ブリリアタワー西新」や商業施設「プラリバ」など、みなさんに身近なさまざまなプロジェクトを手がけているんです。
私が所属するのは、新規事業開発部。スポーツ・エンターテインメント、ウェルネス・ウェルビーイング、サステナビリティなどさまざまな領域で、新たな事業創出を目指しています。私たちが、Park-PFIにかかわることになったのも、この新規事業開発の一貫です。2024年には、国立競技場の前庭空間にある「都立明治公園」で都立公園初のPark-PFIを手がけました。
Park-PFIとは?公園は「増やす時代」から「活かす時代」へ
岸本:
今回のトークの核となるのが、明治公園で採用されているPark-PFIという制度ですが、一体どのような制度で、従来の公園作りと何が異なるのでしょうか。
北川:
まず前提として、公園とひとことでいっても、いくつか種類があります。一般的な運動公園や街なかの公園もあれば、国立公園、国定公園、少し特殊なものでは海上公園もあります。そうした幅広い公園の中で、Park-PFIの対象として中心になるのが、都市公園です。これは都市公園法に基づいて管理されていて、国や自治体が所有・管理する公園となります。
現在、国内の都市公園は約11万カ所あります。これまでは、公園を増やしていこうという考え方のもとで整備が進められてきました。しかし、近年はそのスピードが鈍化。人口動態の変化に加え、都市化によって用地の確保が難しくなっていること、さらに維持管理にかかる財政負担が大きくなっていることが背景にあります。こうした状況を受けて、既存公園をどう整備し、どう運営していくかという手法の見直しが進み、民間の力を取り入れる動きが広がってきました。
都市公園は、1970年に制定された都市公園法のもと行政主導で整備されてきましたが、2003年の地方自治法改正をきっかけに、管理運営にも民間が関わるようになります。その後も制度は拡張され、立体都市公園制度やPark-PFIなどが登場。公園のあり方は大きく変化しているのです。実際に、設置管理許可制度や指定管理者制度の活用事例は多数にのぼり、Park-PFIは供用開始済みのものだけで全国100カ所以上、検討中・整備中を含めると200カ所を超えるなど、急速に広がっています。
従来のように行政だけで公園をつくり、守るという形から、民間の力を取り入れながら公園の価値を高めていく方向へと、大きく変わってきているのです。
岸本:
「設置管理許可制度」は、昔からある公園の売店のようなイメージですね。公園でお菓子や飲み物を売っていた小さな売店です。一方、Park-PFI制度はもう少し踏み込んだ活用で、県営公園である天神中央公園のように、カフェやレストランが入るケース。利用者目線では、「飲食施設が充実していたり、サービスが便利だな」と感じる場合、Park-PFIを導入している可能性があると捉えると分かりやすいと思います。
Park-PFIは福岡市もかなり力を入れていて、今回ご紹介する明治公園は、市が維持管理する公園としては初めて導入を決めた事例の1つになるんですよね。
北川:
2017年に国のガイドラインが示されて以降、各自治体ではPark-PFIの導入が進んできました。福岡市は後発組ではありますが、導入のスピードや件数はかなり伸びている印象です。
もう少し、Park-PFIの制度を整理すると、大きく3つのポイントがあります。
まず、公園内に設置できる収益施設の面積が、従来の約2%から最大12%まで緩和されたこと。次に、設置管理許可の期間が10年から20年に延びたことで、投資回収を見据えた事業が成立しやすくなった点です。
そして3つ目が、利便増進施設という形で広告収益を得られることです。建物だけで収益を出すのは難しい中で、別の収益源を持てるようになったことで、事業としての成立性が高まりました。
加えて、設置できる公園施設については、公園の特性も踏まえながらですが、飲食に限らず宿泊や温浴、アクティビティなど、幅もあります。こうした柔軟性があることで、民間事業者にとっても参入しやすくなり、より充実した施設整備や維持管理を行えるようになるのが、この制度の特徴だと思います。
変わる公園の今。都市に生まれた新しい風景
ゲストプロフィール
東京建物株式会社
新規事業開発部インフラ・PPP推進グループ
北川 雄大さん
東京建物入社後、住宅賃貸事業部にて、賃貸マンションの開発・AM・売却を担当。その後、新規事業開発部 インフラ・PPPグループにて、新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業、有明アーバンスポーツパーク整備運営事業などPPP・PFI事業を中心とした新規案件の取得と開発推進業務を担当。現在は博多駅前の明治公園整備・管理運営事業の開発推進に携わる。






