インタビュー

いのち育むたまごで繋ぐ2日間 あおぞらたまご市は今週末開催!香椎宮・木下さんに聞く「こどもと神様の関係」

こんにちは、編集部の谷川です。
福岡市東区にある香椎宮・鶏石神社。今年で3回目を迎えるお祭り「あおぞらたまご市」が今週末9月7日(土)・8日(日)に開催されます。こどもの成長に感謝し、神社とこどもたちの縁を結びなおすこの催しをまえに、こどもの行事ごとについて、その意味を聞いてきました。

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今回、お話をお聞きした香椎宮の木下さん

100日参り、お食い初め、七五三…こどもが成長していくにつれ、たくさん増えるのが行事ごと。
私の場合、こどもをもったことで神社へ足を運ぶ機会が増えました。毎日の育児や仕事に追われながら、それまでは聞いたことがなかった言葉や習慣をインターネットで調べては無事に行事を終えることで手いっぱい。でも、その行事ってこどもにとっても私にとっても、一生に一度の大切な節目なはず。どうしてこどもの行事を神社でするの?どんな意味があるの?など常々疑問に思っていたことを、知識の乏しさを隠さず、背伸びせず、香椎宮で聞いてきました。初歩的なことからやさしく教えてくださったのは、ご自身も3歳の男の子を子育て中のお父さん、香椎宮神職・木下英大さんです。

3歳までのこどもたちは “神さま側” の特別な存在

—こどもの行事をするうえでまず最初に迷うのが、神社選び。福岡にもたくさんの神社があります。こどもの行事ごとでお世話になる神社をどうやって選ぶのがいいのでしょう。

「選ぶ基準となるのは、大きくは2つあります。今住んでいるところの守り神『氏神(うじがみ)さま』のところか、生まれたところの守り神『産土神(うぶすながみ)さま』のところ。(東区では古くから多々良川から東部が香椎宮、西部が筥崎宮、といわれてきたそうです) 神さまに『この地でこの子を育てていきます、どうか見守ってください』ってご挨拶をするんですね。ずっと同じ神社でなければいけない、なんてことはなくて、引っ越しなど環境が変わったらそこの氏神さまにご挨拶をすれば大丈夫です。そのほか、安産はここ、など、その神社の神さまのご利益によって選んだりしても良いと思います」

<こどものおもな行事>
・安産祈願の戌の日参り
・出産後30日での初宮まいり
・出産後100日でのお食い初め
・1歳での初誕生(もちふみ)
七五三(男児は3歳、5歳/女児は3歳、7歳)となります。
香椎宮のホームページ「人生儀礼」にも記されています

―こどもをもってはじめて行事の種類がこんなにあるんだ、と驚きました。そもそもの話なのですが、なぜこどもの行事はこんなに多くあるのですか?

「日本では昔、こどもというのは3歳を迎えるまで“神さま側の存在”であった、といわれているんです。
こどもって純真無垢であり、非社会的な不思議な存在でしょう。私たちはこどもの行動を『遊ぶ』とよく表現しますよね。その一方、よく敬意をこめて『〇〇さまが・・・あそばす』などと、『遊ぶ』という言葉を動詞にくっ付けて敬意を表したりもします。元来、「あそび」というのは神さまの行為をさす言葉なんです。それだけこどもが神さまと近いということ、それは、こどもが神さまの世と近い、危うい存在であったとも捉えられます。だからそれぞれの行事には『よくぞ無事に大きく成長して、生きて今日の日を迎えられた』という昔からの日本人の想いが詰まっているんですよ」

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―昔の日本人にとって、こどもの成長はあたりまえではなく一日一日生きてきた積み重ね。その暮らしを見守ってくれた神さまに感謝していたのですね。祈祷のときには、いつも祝詞が唱えられますが、あれは神さまに何をお話しているのですか?

「難しく聞こえると思いますが、とってもシンプルなことを言ってるんですよ。神さまに、この年まで無事に育ってくれたことの感謝、やお祝いをすることを報告しています。
例えば、七五三のご祈祷では、こんなことを唱えているんですよ。

かしこみかしこみ…(おそれながら申し上げます) 
〇〇町に住む△△という名前のこどもが、ここまで大きくなりました。今日は神さまに見せにきましたよ、かわいいでしょう?慣例によると、七五三といいましてお祝いをする習わしになっております。これまでの感謝を申し上げます。これからもこのこどもを愛おしいと思っていただき、香椎宮・綾杉のように長く力強く成長しますように、神さま、どうかお見守りください。

もっと難しいことを話しているのかと思っていましたが、その内容を聞いてみると神さまに語りかけているシンプルな感謝の言葉だったんですね。次の機会には祝詞にもしっかり耳を傾けてみようと思います。

大切なのは「形より気持ち」。神社で過ごすハレの日を家族で楽しんで

―小さなこどものご祈祷は『泣きだしたらどうしよう』という不安や、参拝するときもこどもの場合のマナーをどうするのがよいのか迷ってしまいます。お作法としてこうするべき、という決まりはありますか?

「お子様が小さい場合、無理に小さな手を合わせなくても、できる範囲でいいんです。形より気持ち。たとえ、ご祈祷中に泣き出してしまっても大丈夫です。幸せを祈る行事なのでとがめられることではありません。元気があって良いことですよ。それと、もともとご参拝というのは、ご挨拶をし、感謝を伝えて、これからもお願いしますという気持ちを伝えるものです。『・・・なりますように!』などとお願い事をするのも悪くはないのですが、守っていただいていることへの感謝をしたうえでお願いをするようにしましょう。あと、決まりではないのですが、七五三などの行事は『ハレ』の日。神さまにこどもをお見せするせっかくの日なので着物はぜひおすすめします。普段とはちがう装いで、ご家族で節目を楽しんでみてください」

―どんどん成長していくこどもたちと、それを見守ってくれる神さま。神社って実は子育てと深い関係があるんですね。

「そうなんです。実は、神社の年間の神事ってすべてに稲作が関係していてですね…春の祭り~夏の神事~秋の収穫祭、年越し準備、年末のお参り、初詣。そして、稲が成長するエネルギーはこどもが成長するエネルギーと同じ、と考えられているんですよ。人間が豊かに平和に暮らすために、その守り神さまにとってみれば、『こども』はとても大切な存在なんです。こどもがいないとまもる対象がいなくなる。こどもたちは神社にとっても神さまにとっても、宝物のような存在なんですよ。」

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「神社は心の拠りどころであるだけでなく、昔のようにいつも境内でこどもたちの遊ぶ姿があったり、こどもたちが気軽に来れ、その価値を育む場所であれたらと思います。神社にとって、守る対象の人々が豊かなまま世代交代をしていくためには、その地域のこどもたちの成長を見守っていく役割があると考えています」

神社は特別な時に行く場所。格式が高く、どんな失礼もあってはならないはずーその考えから、自分の子育てとは少し縁遠い存在に感じていた私。でも今回、行事のお話を聞いていくにつれ、こどもの成長を一緒に喜び合い、見守ってくれる大切な存在なんだと気づかされ、ぐんと心の距離が近くなった気がしました。節目の行事のときに行くだけなんて、なんだかもったいない。小さな手を握って、神さまにこどもの成長を見せにいってみませんか。神さま、こんなに大きくなりました、これからもよろしくおねがいします、って。

木下さんがこどもの行事についてお話します!

9月7日(土)8日(日)に、香椎宮内にある鶏石神社で「あおぞらたまご市」が開催されます。
たまご料理やたまごを使ったおやつが食べられるたまごマルシェや、親子で楽しめるワークショップに音楽ライブなど盛りだくさんのお祭りです。
私谷川が子育てママを代表して、今回お話をお聞きした木下さんに、神社にまつわる子どもの行事のあれこれをお聞きするコーナー「こどもの行事、神主さんにきいてみよう」(7日(土)8日(日)12:30~13:00)もあります。記事では伝えきれなかったこともお聞きしたいと思っていますので、ぜひ遊びにいらしてくださいね。

■開催概要
タイトル:香椎の杜 あおぞらたまご市 ~ニワトリ祀る香椎宮・鶏石神社の秋祭り~ 
日時:2019年9月7日(土)・8日(日)10:30〜16:30
会場:香椎宮境内 鶏石神社周辺(福岡市東区香椎4-16-1)
入場無料
主催:あおぞらたまご市実行委員会
後援:福岡市

あおぞらたまご市の紹介記事もご覧ください
https://anaba-na.com/21890.html

(編集部 谷川)


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