博多まちづくりミートアップ

もっと自由な働き方と仕事づくりのあり方〜ミートアップvol17レポート後編〜

コーヒータイムが人をつなげる

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白石(洋)The Companyが掲げているキーワードに「ワークリンク」、つまり会員同士がつながることで仕事が生まれるというものがありますね。(白石)憲正さんは利用者としてどのように感じていますか?

白石(憲)人や仕事のつながりは日々感じています。例えば1階のスペースでコーヒー飲んでいると隣の方と話したりすることもあるんですけど、その出会いが新しい仕事に結びついたり。遅くまで残っていた者同士で「このまま飲みに行きますか?」みたいな流れになることもあります。実際、コーヒータイムでつながった人と一緒に仕事して、相性が良かったので、そのままdiffeasyにジョインしてもらった人もいます。

白石(洋)同じ空間で仕事しているというだけで、そこまでつながるのはすごいですね。

白石(憲)僕は「質の高い雑談」がポイントだと思うんです。普通はコーヒー飲んでても他愛もない会話で終わりがちですけど、ワーキングスペースですから、自然と仕事の話ができる。質の高い雑談は、The Companyの仕掛けだなと思います。

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白石(洋)利用者も協業に対する意識が高いでしょうし、ベースにある価値観が共有しやすいのかもしれませんね。

白石(憲)新しい仕事が生まれるだけじゃなくて、今の時代にフィットしたオフィス設計や、diffeasyのブランド力強化、人材採用のコストもほとんどかかりませんし、The Companyに入居しているメリットは本当に大きいです。特に人財はエージェントに頼んだら何十万円単位でかかるような費用が要らなくなるという意味でも、効果が大きいです。売上と支出の2つが同時にThe Companyの中で実際に回っていて、その恩恵をdiffeasyも得ています。

フリーランスにはおせっかいな人が必要!?

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白石(憲)ワークリンクのもうひとつのポイントは「質の高い紹介」。紹介される人は、大きく3パターンで「社長」「投資家」「謎の人(笑)」に大体分かれます。色々な新しい仕事につながることも多くてありがたいです。

白石(洋)打率一緒でも、打席数多いと当たりやすい。そういうチャンスが転がっていることが、人脈の広がりにもつながっているんでしょうね。

白石(憲)田舎のおせっかいおじちゃん/おばちゃんがお見合い話もってくるような、いい意味でそんな空気感がThe Companyにはありますね。

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白石(洋)もともと協業するためのワークスタイルがコワーキングの始まりですから、その文化のひとつに「おせっかい」要素があるのは必然的かもしれませんね。

白石(憲)「おせっかい」って人間味があるじゃないですか。かっこよさやオシャレなスペースが増えている今、The Companyみたいな、いい意味でおせっかいがあるのって強みだと思うんですよね。博多のまち自体も「おせっかい」だと思ってて、だからこそ博多発信のシェアオフィスThe Companyの強みになるんだろうなぁと。

白石(洋)The Companyは、憲正さんにとってどんな場所ですか?

白石(憲)他の入居者の方々の仕事をしている姿を間近で見れるというのは、すごく刺激的です。切磋琢磨し合える環境や雰囲気がある。でも何よりも僕が一番魅力だと思ってるのは、二郎さんの存在だったりするのかな。だって「赤字」とか言いながら海外に出店したりして、攻めまくりで頭おかしいでしょ(笑)。僕だったら二郎さんみたいな攻めの経営はできません。二郎さんを筆頭に、ほかのコワーキングスペースにはない何かが、The Companyではうごめいていると思います。

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立ちはだかる言語の壁
マルチロケーションをどう生かす

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白石(洋)再び榎本さんに質問です。The Companyの目下の課題などありますか?

榎本始めは、福岡をハブに海外の色んな場所とつながれたらと考えていたのですが、福岡だけ取り残されているような現象が起きています。なぜかというと、語学の壁が異常にデカい。これはゼロテン全体の大きな課題なんですけど、福岡と海外の人たちがストレスなく仕事をできるようにしたいと思っています。

白石(洋)マルチロケーションで海外とつながれるThe Companyだからこその課題ですね。

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榎本それで最近考えているのは、ある程度英語ができるゼロテンの人間をブリッジとして全拠点に配置することです。特に顔が見えるか見えないかということは、仕事をする時に大きな差になる。その差を埋めてくれる信頼役をどの拠点にも置きたいですね。

白石(憲)セブの実況中継なんかも面白そうですね。そうしたら、セブとコーヒータイムが実現できますね。

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榎本そう、今まさにそれをやろうとしてます。スカイプID聞くのもストレスだから、ボタンひとつでセブとつながる。そんなシステムをどんどん入れていきたいです。今後マルチであることの魅力がちょっとずつ広がっていってほしいですね。福岡も地方都市としてカルチャー面をうまく生かして海外と仕事をしていくことで、東京みたいな大都市とはまた違った個性的なまちとして生きてくるんじゃないかな。

白石(洋)まさにアジアの玄関口ですね。

榎本その前にまずはやっぱり英語ですね。例えですけど、福岡市が率先して外国語教育に力入れて、「日本で唯一2ヶ国語を公用語にしているまち」みたいにアピールしていかないと、今のままではハードルがかなり高いと思います。

コワーキング時代の新しい働き方とは?

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白石(洋)最近はよく「働き方改革」とか言われますけど、働き方の変化についてどう感じていますか?

白石(憲)組織に属することの意味が問われている時代だなとは思います。diffeasyでも会社設計を「自由な働き方」にしていますが、誰も何も指示しないから、自分で考えて動いて成果を出さないといけない。でもそれって結構大変だなって思ってます。

白石(洋)他人から指示されたほうがよっぽど楽ですからね。

白石(憲)そうなんです。あとdiffeasyでは自分の評価を自分で付けます。そして全部全員に開示しています。

白石(洋)評価と実績が伴わないといけないというプレッシャーがありますね。

白石(憲)3ヶ月ごとに評価を付けるのですが、翌3ヶ月は「評価なりの仕事してる?」みたいな暗黙のプレッシャーがありますよ。自由というのはキツイなあと、僕は思いますね。

白石(洋)自由なふり、管理されないふりして、自律的に管理している。いいですねえ。

白石(憲)いいですか(笑)? 普通はみんな欲するんですよ「言ってくれ」「指示してくれ」って。日本の学校って、先生から言われたことをそのまますればいいという意識が刷り込まれてますからね。でもそれでは自由はいつまでたっても手に入らないということに、diffeasyのみんなは気付き始めてます。意識改革を辿っていくと、結局は日本の教育そのものが変わらないといけないと思いますね。

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これから先のフリーランスの可能性とは?

榎本指示がないと動けない人は組織に属するのがいいんです。ただ僕はね、フリーランスが増えつつあるのは悪くないと思うんですよ。フリーランスってもともと“手に職つけた”人の働き方だったはずでしょ。でも今はフリーランスを束ねるフリーランス、プロジェクト管理するフリーランス、中にはフリーランス3人だけの会社とかすら出てきている。“手に職ついてない”フリーランスが増えるのってワクワクしますし、これからの時代に期待できる面もあるんじゃないかな。

白石(憲)「手に職がついてないフリーランス」、面白いキーワードですね。

榎本組織にいて楽しい人は組織にいたほうがいいと思いますけど、組織にいると多少のルールはありますから。だから僕は、ゼロテンのスタッフも自由にフリーランスになってほしい。今抜けられると困る人もいますけどね(笑)。

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白石(洋)ある程度経験を積んだ人が業務システムを出てフリーになるというのはわかるんです。でも最近はあまり経験のない若い方でもフリーランスだったりしますよね。

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榎本そういう人が増える危険性もありますよね。フリーランスには、叱ってくれる上司もいなければ、育てなきゃいけない後輩もいない。プレッシャーもないし、逃げようと思えばいつでも逃げられる。つまり学ぶチャンスや成長が組織に属している人より少ないかもしれない。ただそういうものすら、このThe Companyが補いたいという気持ちはありますね。大きなプロジェクトにフリーランスを強引に入れて、社員でもないのに僕からガミガミ言われたりして。そうやって若いフリーランスも成長させられたらいいなあ。

白石(洋)すごいおせっかいですね(笑)。

白石(憲)The Companyって、いい意味で昔の田舎の風景をビジネスで再現してる感じですね。

榎本10年くらい前ですけど、アメリカの広告会社ランキングの1位か2位に、スタッフ8名の会社が入ってたんです。『ダークナイト』という一時期大ヒットしたアメリカ映画の広告を全部請け負ってた会社だったんですけど、でもなんで8名の会社がそんな大きな広告請け負えんの?って思うじゃないですか。調べてみたら、その会社は世界中のフリーランスネットワークとつながってて、彼らをフル動員してた。それを知った時、何か分かりませんけどワクワクしたのを覚えてます。福岡を中心に、東南アジアとかでもそういうことがやれる時代がくると面白いですよね。

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これからの人材の価値はどこにある?

白石(洋)最後に参加者の方からご質問やご感想などをお聞きしたいと思います。

参加者今日はありがとうございました。実は私も手に職なくて独立した系なんですが、果たしてこの先ジェネラリストとしていくべきか、スペシャリストとしていくべきか、その選択肢を迫られています。この先どういう人材に価値があると思いますか。

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参加者

榎本どっちでもいいというのが本音なんですけど、ジェネラリストとしての高みを目指すのがいいんじゃないですか。ということはジェネラリストとしてのスペシャリストになりますから、結局スペシャリストですね(笑)。まあ、人材の価値って無限にありますよね。凄腕だけど心を開いてくれないエンジニアとコミュニケーションとれるのが価値かもしれないし、ただコネクションが多いだけでも価値になる。

白石(憲)ちなみに彼、英語も話せますし、ウェブのディレクションもできますよ。

榎本じゃあセブ行きますか?

参加者ほんとですか(笑)

榎本セブ採用しますよ。英語はかなりできます?

参加者かなりでもないですけど……なんですかこれ。

榎本面接。

会場(笑)

榎本今何歳ですか?

参加者33です。

榎本ご結婚は?

参加者このあいだ離婚しました。ていうか、なんですかこれ(笑)

榎本理由は?

参加者質問がおかしいです(笑)

榎本バツがついているというのはいいですね。

参加者ありがとうございます(笑)

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白石(洋)かなり独特な展開になりつつありますが、お時間がきたので終わりにしたいと思います。非常に面白いお話が聞けて、個人的にもすごく満足しております。榎本さん、白石さん、どうもありがとうございました。

(了)


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