RethinkFUKUOKAProject

廃校活用!ジャパンブランドプロデュース! クリエイター秋元さんに聞く「やりたいことの進め方」

ReTHINK FUKUOKA PROJECT レポートvol.22

アナバナではReTHINK FUKUOKA PROJECTの取材と発信をお手伝いしています。

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2014年に閉校した大名小学校。140年もの歴史を持つ学校の跡地の利用について、多くの人々がその行方に関心を抱いています。この歴史ある建物を新しいことに活用したいと考えるクリエイターと維持管理や運営、金銭面でバックアップする行政や企業。皆が納得して、未来へ繋げる夢のあるプロジェクトなんて、実現できるのでしょうか?そして、この課題は、大名小学校だけではなく、地方活性化の元にどの地域にも発生しています。

今回は、そんなまちづくりを個性的なアイデアで盛り上げてきた仕掛け人が登場。
世田谷ものづくり学校、隠岐ものづくり学校などの廃校活用に加え、経済産業省のMORE THAN プロジェクトなど、名前だけでもユニークなプロジェクトに関わるロフトワークの秋元友彦さんに、まちづくりのヒントについてお聞きします。

司会役は、福岡移住者に向けた情報発信や、コミュニティの場を創出する『福岡移住計画』を立ち上げた須賀大介さん。地方に隠れたクリエイティブの可能性を探し続けるお二人の話は、見慣れた地元をまた違った角度で映し出してくれました。
さあ、一緒に地方の未来についてRethinkしましょう。

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宇宙人と呼ばれて、クレーム対策の日々…
クリエイターと役所を巻き込みながら挑戦は続く

須賀 僕は、過疎地の廃校、街中の廃校を活用した時にどんな事が起きるのか、ぜひぶっちゃけてお聞きしたいです。

秋元 前職では、世田谷の廃校活用施設「世田谷ものづくり学校」でディレクターとして6年半くらい勤めていました。世田谷区が所有している廃校になった中学校を「株式会社ものづくり学校」が家賃を払って借受け、サブリースという形で企業に貸し出しをしています。家庭科室はフローリングを貼ってスタジオにしたり、職員室に実際に映画館で使用されていた椅子を設置してシアターにしたり、保健室は入居者や近隣の人の憩いの場になるようカフェを作ったり。

須賀 一番大変な事って、どんな事でしたか?

秋元 地域の方や行政とのやりとりです。当初は他に民間企業が廃校を活用している事例も少なかったので、施設の活用の方向性にはあまりイメージが湧かなかったんだと思います。日々のクレーム対応も業務の一環でした。地域の人たちにとって “異物がやってきた”みたいな感じだったんです。さらに運営するのは民間企業なので「一企業に利益を生ませるために学校を貸し出すとは何事だ」と。開校前に説明会を何回も開きましたが、結局地域の理解を満足に得られないままスタートすることに。だからこそ、どんどん地域に開いていったんです。最初の5年間は、地域との距離を縮める為の活動を行う期間でした。

須賀 具体的にはどんな活動をされていたのですか?

秋元 住民向けのワークショップを多い時で年間約500本は開催していました。どんな企画をすれば世田谷の人たちに楽しんでもらえるか、クリエーターと議論を重ねましたし、「GREEN DAY」を中心に大きなイベントも年に4回程度開催しました。

須賀 経済面でも効果があったんですか?

秋元 経済面でも地域に貢献できていたと僕は思っています。「世田谷ものづくり学校」の入居条件は住所をこの学校に移すことで、入居企業の全体収入は当時の公表では大体20億くらい(間違っていたらごめんなさい)。世田谷区に結構いい税金を落としていたのではないでしょうか。ただし、公的な場所を借りているので、事業のお金はガラス張りにして世田谷区に開示していました。人件費も沢山割けなかったので、スタッフ6名くらいで企画や広報、管理人の仕事をやっていました。トイレが詰まったら業者さんを呼ぶとか、電球が切れたら交換するとか、全部。おかげで、いろんなことにチャレンジできるって気付きました。

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「なんか面白そうだから」で採用された男、
日本のイメージを変えるため、官民でチームを結成!

須賀 「ものづくり学校」を辞めて、ロフトワークに入ったきっかけは?

秋元 ロフトワークは、いろんな事に取り組みまくっていて、一言で言えば「実験カンパニー」。会社自体でものすごいリソースを持っていたので、これをうまく使うことが出来たらいままでとは違った軸でもっと楽しめるんじゃないかと思いました。代表の林には“何を一緒に出来るかわからないけど面白そうだから、部署とか関係なく入ってよ”と言わて。それで僕の肩書きは“無所属”なんです(笑)入社後、最初の取り組みが経済産業省の「MORE THAN プロジェクト」。ジャパンブランドプロデュース支援事業として、日本各地にある商材を世界に届ける導線作りをサポートする事業です。最初は、経済産業省の担当の方から“前例がない”と言われて「NO」という判断をたくさんもらいましたね。それでもプロジェクトの効果を伝えて説得し、前例をどんどん積み重ねていきました。プロジェクトにかけるお金は、できるだけ事業者のために使いたいと考え、経費削減に努め、浮いたお金をクリエイティブの制作費に回すなど工夫を重ねて。そのうちに担当の人たちの意識もどんどん変わって、任せてもらえるようになったんです。2年目にはやりたいことをほぼできるようになりました。

須賀 海外へアピールするためにどんな事を心がけられたのですか?

秋元 実は、日本のイメージって、まだまだ知られていない。「フジヤマ、サムライ、スシ、ゲイシャ」なんです。そこで、いまある価値を届けていきたいと考えました。プロジェクトの正式名称もあえて「MORE THAN Fujiyama Samurai Sushi Geisha PROJECT」と付けて。経産省の人からも最初はイメージを否定しているように見えると反対されましたけどね(笑)

須賀 今後はどんな展開になっていくのでしょう?

秋元 このプロジェクトは、来年度以降の補助金がなくなっても、自社のオウンドサービスとして展開していくことを意識して作っています。ロフトワークがもともと得意なこと、できることをベースに設計しているんですね。9月にオープンして、これまで登録したデータは約140。これを年度末までに800位に増やすために今ドライブをかけています。とはいえ実はまだ試用運転段階で、再度リニューアルを行う予定。産地とのつながりをもっとリアルに作っていければと思っています。すでに一つのプロジェクトで得られる価値以上の可能性を感じていて、積極的なチャレンジ(投資)をしても十分に回収できると考えています。今後は、須賀さんやみなさんにも相談させてもらい、福岡での展開も進めていけたら嬉しいですね。

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自分のスタイルは自分で作る、自由人が企てる
次なる目標は「好き」を形にする“妄想フェス”

須賀 いろんな人々との関わりの中でお仕事をされている秋元さんですが、最初はコミュニケーションを取るのが苦手だったとか?

秋元 もともと人の前で話すのは大嫌いだったんです。自分一人で完結できることが好きで、新卒で建築の世界に進みました。でも建築の仕事って、コミュニケーション力が相当必要なんですね。伝え方に定評のある著名人の番組を録画して2倍速で見て、話し方を研究したりして、人と話すために必要な技術を自分でつくっていきました。まあ、学校では先生をはじめ、うまくまわりを味方につけて効率よくこなしていたので、自分が生き抜く術を探すのは得意だったかも。それが最近は良い方に働いていて、いろんなプロジェクトにつながっているような気はします。

須賀 コミュニケーション力を身に付ける時にも、自分なりのスタイルがあったんですね。秋元さんは様々なクリエイターの方ともお仕事されていますが、そこにも秘訣が?

秋元 僕は、自分は大したことができるとは思っていません。僕にできるのは想いを伝えて人を口説くこと。なので、出来ないことは人を頼るようにしていて、チームづくりの精度には自信を持っています。プロジェクトに必要な人たちがすぐに思い浮かぶんですよね。でも最初は失敗の連続でした。チームを作っても機能しなくて終わっていくということも何度もあって、トライアンドエラーを繰り返してきた結果です。

須賀 なるほど!秋元さんの次なる目標は何ですか?

秋元 僕はいずれ“妄想フェス”を開催したいと考えています。やりたいことを勝手にやりたい人がやって、それを楽しみたい人が勝手に集まるお祭り。実はその場所はもう確保しているんです。あとは仲間を集めて、数年後にやれたらいいな。ゆくゆくは学校とかもできたら、すごく楽しいだろうなと思います。今はまだ言えないんですけど、いくつか個人で関わっている廃校活用の企画に取り入れていこうと勝手に企んでいます」

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なんとも夢のあるセリフがポンポン飛び出した今日のRethink FUKUOKA PROJECT。お堅いお役所や現地の人を相手に、夢のようなアイデアを地に足のついた計画に落とし込んで説得する粘り強さ。何よりも、プロジェクト実現までの困難も含めて本人が一番楽しんでいるような明るさが印象的でした。数多くのプロジェクトの成功もさもありなん。我々も見習って、ゴーイングマイウェイと行きましょう。外は大荒れの天気でしたが、ここでは納まりきれない裏話もたくさん教えていただき、来場した方は大満足。親睦会も大いに盛り上がりました。

 

ReTHINK FUKUOKA PROJECTについて
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブでエネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。


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