RethinkFUKUOKAProject

世界レベルの問題から、日々の不満や疑問にまで 生活に切っても切れない“政策”のタネを見つけよう!

ReTHINK FUKUOKA PROJECT レポートvol.30

アナバナではReTHINK FUKUOKA PROJECTの取材と発信をお手伝いしています。

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EUの離脱、アメリカ大統領選挙トランプ氏当選、韓国の朴大統領の弾劾など、激動のニュースが駆け巡った2016年。今、世界中で大きな転換期が訪れようとしています。国内においては、震災復興や待機児童問題など様々な課題が次から次に浮上している状況。今や国民の誰しもが、政治に関心がないでは済まない状況である事を痛感してるのではないでしょうか。
そこで今回は、「福岡移住計画」の創設者であり、子どもを持つ親でもある須賀大介さんが緊急提案!総務省、みんなの党代表(当時)渡辺喜美衆議院議員政策担当秘書など、国や地方で数々の政策に携わってきた政治のプロ・政策コンサルタント、室伏政策研究室代表・室伏謙一さんをお招きして、政治について一から学びます。普段は中々聞きにくい質問も、今日は無礼講。皆さんで一緒に日本の、いや世界の未来をRETHINKしましょう。

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恥ずかしながら教えてください室伏さん!
そもそも政治って何ですか?

須賀 今日はね、正直、僕は恥をかきにきました。今年で40歳、子どもも2人いるし、会社も14年やっています。でも世界が変わって行く中で、あまりにも政治から目を背けすぎていたなと思うんです。外国だと若い人たちがこういった場所でお酒を飲みながら政治の話をするのは当たり前って聞くじゃないですか。でも、日本ではそういった話はタブー視されている気がする。それをこのタイミングで変えたいんです。福岡って、人との対話や関わりができる町だと思うから。そこで、今日は政治のプロ・室伏さんと、地域経済分析システム(RESAS:リーサス)を立ち上げたチームラボの床並さんと一緒に政治について考えたいと思います。

室伏 僕は、政・財・官の経験を生かして、政策の動きがどうビジネスに影響するのか分析するとか、ある業界に関する法令の仕組みを変える事でビジネスの幅を広げていくといったような、政策、政治に関連する仕事を手がけてきました。今は、衆議院議員の政策アドバイザーや区議会議員の支援ですとか、民間企業・団体の政策顧問、私の地元の静岡の活性化プロジェクトなど、色々とやっています。今日は、まず基礎的な話。「政治って何だろう」というおさらいから始めましょう。皆さんはどう思われますか?

参加者の皆さん 「国を統治する?」「人を束ねる?」「学校の生徒会の大きい版?」

室伏 なるほど、生徒会は近いですね。僕は「まちを作るみんなの政治」と解釈しています。法律や仕組みを決めたり、組織や社会を助けたり、予算を決めたり…。つまり、我々の生活や仕事に関するありとあらゆる事が政治を通して決められているんです。だから、政治に参加する選挙は大事。選挙以外でも、こういう風に語ったり、各党のWEBを見てみたり、身近な所からの政治参加も重要なんですよ。政治と同じキーワードに「政策」が挙げられますが、これは「〜するべき」というべき論ではありません。政策とは、「法令や予算など決定等の総称」つまり、政治の成果物なんですね。ただし、政策を具体的に制定するまでには高い専門知識が必要で、いわば職人の世界。皆さんとはその前段階の部分、課題を抽出する部分を一緒に考えていきましょう。

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これから世界は、日本はどうなっていくの?
“未来”に向けて、“今”を見つめ直そう!

須賀 では、今日は皆さんから室伏さんに聞きたい質問をあげてもらって、それを議題にしたいと思います。

参加者4人で1グループを作り、その中でテーマを選んでもらいました。初対面同士でおおっぴらに政治の話をするのって、なんだか新鮮。皆さん真剣ながらも、どこか和気藹々とした様子で議論が交わされていました。その後出されたいくつかの議題について、トークがスタート。

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須賀 まず国際的な動きについての話題「トランプ氏が大統領になると、どの産業が活性化するのか?」

室伏 実はトランプ氏は非常に有能な商売人なんですね。よく分からない事を言う成金候補ではない。そして彼は、自分の資産があるので、ウォールストリートや多国籍企業から献金を一切もらっていない。トランプ氏が当選したのは何も不思議なことではなく、大企業が暴利を貪り、彼らに有利な政策を打ち出す政治家に散々辛酸を舐めさせられてきたアメリカ国民のアンチテーゼなんです。日本ではTPP離脱の話題ばかりですが、彼は大統領交替時の政府の職員の天下りを5年間禁止すると言っています。これは政界と産業の癒着を防ぐと言う意味で、とても重要な政策なんです。彼が一番関心を持っているのは内政で外交は二の次なんですよ。

須賀 なるほど、ありがとうございます。では次に「国の枠を超えた世界のリーダーが生まれる可能性はあるのか?」

室伏 これは不可能です。リーダーが自国民の利益を考えるのは当然の事。一方で、それぞれの国が過剰に国益を主張するような事がなくなれば争いは段々減ってくるはずです。

須賀 考えさせられます。では次はシンプルな質問。「日本の政治ってイケてるの?」

室伏 正直言ってイケてない!今の政権は政策を言わされているだけで、議論が成り立っていないし、反論をしても届かない。野党もパフォーマンスばかりで、場合によっては与党の補完勢力。何のために政治家になったのかと言う人が多い。今日のような機会を利用して、イケてる政治に変えたいですね。

須賀 僕もそう思います。引き続き、「米軍撤退する事になった場合、日本の自立するチャンスについて」。

室伏 沖縄にいる米軍は日本を守るためのものではありません。日米安全保障条約にも「日本を守る」とは一言も書いていない。アメリカが東アジアに展開する兵力を置いているだけです。しかも日本がかなりの負担を払っています。だから米軍が撤退するなら大歓迎です。もともとアメリカには維持するだけのお金は無いし、トランプ氏は商売人なので撤退させるという選択は当然。自主防衛力を整えるとか、ヨーロッパのOSCEのように紛争を未然に防ぐような話し合いの場を作る事で紛争を未然に防ぐことは可能です。要は日本がアメリカに頼らず中国などに対等の立場で発言できるよう自立ができるかがポイントです。

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RESASで街のデータを“見る”“話す”
自分ゴトの政治、始めませんか?

須賀 ではもう少し身近に、地元に注目しましょう。そこで、チームラボの床並さんと地域経済分析システム「RESAS」ってなんですか?。

床並 「RESAS」は、各地域を盛り上げていくための情報支援として開発されました。国は色々な情報を持っているのですが、出どころがバラバラすぎて分析が難しい。なので、情報をまとめてビジュアル的に分かりやすく表示して、簡単に町の状況を知るツールにしました。民間の人にも自治体と同じ目線になってもらう、つまり「自分ゴト」として考えてもらうように。
例えば、福岡県の県庁の方から、福岡はいい街でたくさん人が来ているのに宿泊する人が少ないと相談された事があります。データを見てみると、休日の18時で人口がガクンと減っている。確かに宿泊する人が少ないんです。福岡に来た県外の人って佐賀、長崎、大分など近隣の人が圧倒的に多い。ならば九州外の人へのPRに力を入れる必要がある、って事を自分ゴトとして県庁の人に話せるようになる訳です。データだと誰にでも分かりやすいし、それを元に自分たちで新しいサービスを打ち出す事ができる。より楽しい街作りに繋がりますよね。まずはどんなに小さな事でもいいので、「自分ゴト」として話せるようになって欲しい。

須賀 年明け1月には福岡で「RESAS」のイベントも開催されるとか。楽しみですね。では最後に、自治体の政策を作るプロセスについてお聞きしたいと思います。

室伏 人口や所得などの統計はもちろん、「なんでそこが発展してきたか」という歴史的経緯や地理的な条件、社会的な要素も頭に入れて考えなければいけません。まずは、「不満をどうやって変えていけば楽しく暮らせるのか」と考えるのが政策の第一歩です。

床並 「何が無くなると、自分が好きな街ではなくなるか」と考える事で、より新しい街の見方ができるんじゃないでしょうか。ぜひ帰り道に考えてみてください。

室伏 そうですね。皆さんの周りの事を決めるのが政治であり、そこに関心を持ってもらえれば。その関心を持ち続ける事が政治への第一歩です。

須賀 ありがとうございます。今後もこの政治シリーズを続けたいと思いますが、最後に皆さんが思う今の福岡の課題を出してもらって、次回に繋げたいと思います。

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国際情勢や国会の話から始まった「みんなの政治リシンクプロジェクト」。次回に繋がる課題として、会場からこんな宿題が飛び出しました。
・独身女性が多い福岡に、他県から独身男性の誘致を!
・観光に力を入れている割に、外国人観光客の受け入れ体制が整っていない
・福岡には食以外の観光的な魅力が足りないのでは?
・郊外にある大学は交通の便が悪いし、交通費もかさむのが不満。学研都市でもこんなイベントを開催してほしい
・福岡市内には静かなイメージがない。たくさんある寺院や神社を利用して静かな街をPRしては?
・九州のリーディングシティである福岡市から九州各県の魅力を発信しては?
・九州を訪れるか外国人留学生のケアが不十分で地元の人との交流もできていない。福岡の良さを知らないまま帰国するのはもったいない!

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さあ、これらの宿題に対して、あなたはどんな政策を立てますか?
この他にも、ちょっと周りを見回せば、普段の生活の中に政策のタネを見つける事ができるはず。政治について、まずは「自分ゴト」として考えてみませんか?



ReTHINK FUKUOKA PROJECTについて
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブでエネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。


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