RethinkFUKUOKAProject

「自分たちがその街に根を張るようなまちづくりをやりたい」
MAD City寺井さんと鎌苅さん、畠山さんがReTHINKする 不動産を活用した新しいまちづくり

ReTHINK FUKUOKA  PROJECT レポートvol.11

アナバナではReTHINK FUKUOKA PROJECTの取材と発信をお手伝いしています。

 

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11回となるReTHINK FUKUOKA PROJECTのトークイベント。毎月第3水曜日は福岡移住計画による企画で、「新しいまちづくり」をテーマにトークイベントを開催しています。今回のテーマは「古民家・空き家・空き地はお宝だ!」。使われぬまま眠っている地元不動産を活用し、新しいまちづくりを行っている二人のゲストをお迎えしました。

トークを進めるのは福岡移住計画の須賀大介さん。ゲストに千葉県松戸市で仮想都市MAD Cityを立ち上げ、約70件の物件を活用したまちづくりを行うまちづクリエイティブ代表の寺井元一さんと、今春東京から福岡へと移住し、地域資源を活かした場づくりや不動産仲介を生業とする福岡移住計画の鎌苅竜也さんが登場。さらに、「たまたま参加することになったんですよ!」と、いとしまシェアハウスの畠山千春さんもスペシャルゲストとして登場しました。

空き家や古民家といった不動産を活用すると、まちや人にはどんな変化が起きるのでしょうか。トークの内容を一部抜粋してお伝えします。

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MAD Cityは「根を張る」まちづくり

須賀 今注目されているまちづくりは、自治体や行政が所有する施設や公園等の資源をまちのエンジンに使うものなんです。寺井さんは千葉県松戸市の一部の地域に”MAD City“という名前をつけて、不動産を活用したまちづくりをされています。

寺井 僕の会社は「まちづクリエイティブ」という、まちづくりとクリエイティブが繋がった社名で、「つづく世界を作る。」というコンセプトを掲げています。「まちづくり」って、いろんな人がいろんな見方で捉えてると思うんです。結構ふわっとしたマジックワードだと思うんですが、僕自身はまちづくりがしたいというより「自分のまちが欲しい」人です。僕は松戸の生まれでもなく、住んでもいない。じゃあ何をやっているかというと、じわじわと地元の環境や人間関係になじみながら、特殊な物件を扱い、入居者という形で仲間を増やして、そこからまちが変わっていく、というのが今の形ですね。


須賀 寺井さんはまちの空き物件をアーティストやクリエイターに貸しているんですよね。

寺井 そうですね。実は単純なんですけど、誰も使わなくなった物件を僕らが次々と借りているんです。僕らが借りて、入居者に貸すというサブリースのモデルです。その時に、物件を原状回復しないといけないという条件を不要にしたり、禁止事項を減らしたりして貸しています。他には物件に新しく名前をつけるとか、使われていない屋上をイベント利用できるようにするなど、もともとあった良さを引き出して付加価値を加えるようなことをやってます。

須賀 なるほど。

寺井 僕らはまちにエネルギーを与えてくれる人をどうやって集めるかっていうことと、そういう人たちがいつまでも居てくれるにはどうしたらいいんだろうっていうことを考えています。いろんな課題がある中で、人に着目しながら、まちがうまくいく仕組みや循環みたいなものをずーっと作り続けている感覚です。昨今のまちづくりの専門家って、一定期間まちに関わった後は出て行く人が圧倒的に多いんです。僕らはそうじゃなく、そのまちに根を張って自立するまちづくり会社になっています。

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住んでいる場所を拠点に仕事を作れば、田舎暮らしも続けられる

鎌苅 僕は不動産ディベロッパーをやってたんですけれども、割と不動産業って分かりやすくて、お金儲けの話としてもすごくシンプルで、稼げるっちゃ稼げるんです。だけど古民家や空き家といったお宝って地域に眠っていて、個人的にはそういう価値を発掘したいしポテンシャルがあるだろうと思うんですね。それで、大手の不動産ディベロッパーじゃできないような不動産に飛び込んでみたいなと思って、今年の4月に東京の会社を辞めて福岡に移住しました。

須賀 僕と鎌苅は福岡移住計画のメンバーなんですけど、全国にある「◯◯移住計画」は何を軸にやってるかっていうと、居場所と仕事と住まいの「居職住」という移住者に必要な3つの要素のサポートをしています。

鎌苅 寺井さんのところだと一つのエリアで面的にまちづくりをするやり方なんですが、福岡移住計画をまちづくりの手法として考えると、僕らはいろんな地域の拠点を作っていく中で、その拠点をフルに使えるようなワークスタイルの提供をしているんです。その結果、その地域地域でまちづくりみたいなことができてるのかなあって思います。今後は地方にあるいくつかの拠点を取り込んでいきながら、全国で働けるような仕組みを作っていこうと思っています。

畠山 寺井さんが取り組まれていることは、自治区をつくることですよね。私はシェアハウスで、もっと小さいコミュニティを自分たちで作ろうということをやっています。その暮らしの中で大事なのが、小さな仕事を作るってことです。あとは地域の資源を使ってお金を作ること。田舎に住んでるのに、暮らしを続けていくために福岡市内まで出ますってなっちゃうと、せっかく田舎に集まった人材とかお金とか時間が全部都会に吸い取られちゃうんですよね。

鎌苅 うんうん。

畠山 それで結局地元には何も残らないみたいなことが起きてしまうので、私たちが心がけているのは、自分たちが住んでいる場所で、そこにいる人と資源を使って、外から人を呼んでお金を落としてもらうこと。それを少しずつ仕事にしていくっていうことを今はやっています。


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まちづくりの面白さは自分の身近なところから変化が起こせること

須賀 今日のゲストに聞きたい質問をトークの前にみなさんに聞いたんですけども、「まちづくりの仕事には職業としてのブランド力が必要ですか?」という質問がありました。寺井さんはどう思われますか?

寺井 あるあるなんですけど、例えば合コンで「仕事は何をしてるんですか?」って、よく聞かれるじゃないですか。

会場 (笑)

寺井 その時に「まちづくりやってます」って言っても、ピンときませんよね。まちづくりって未だによくわからないと思われてるし、実際どうやってやりくりしているのかとか、謎が浮かびまくる自己紹介はあまり得をしない気がする。一方で、医者とか弁護士なんて言ったら分かりやすいプラスのイメージがあるわけじゃないですか。何が言いたいかというと、医者や弁護士という職業としてのブランド力がもつ価値の大切さなんです。本質的にはどうでもいいことだと思いますが、多くの人にまちづくりに対する関心を持ってもらうためには、「まちづくり」という言葉にもっと明確なプラスイメージが紐づくべきだと思います。必ずしも僕が飲み会で目立つためとかじゃなくて。笑

畠山 私もほぼ同じで、「楽しそうだからやってみたいな」と思う人がたくさん生まれることで、あちこちの地域でまちづくりがどんどん増えていくと思うんです。例えば今日みたいに寺井さんの姿を見て「私も頑張ろう」とか「私もやりたいな」とか思ってどんどん広がっていくのが私は大切なことだと思うので、そういう働きかけはすごくいいなと思ってます。

鎌苅 わかります。

畠山 やっぱまちづくりの楽しいところは身近なところが変わっていくところなんですよね。どっか知らないところが変化していくんじゃなくて、自分の暮らしの中でよく通るあそこが変わっていくとか、よく行くスーパーがああいう風になったとか。自分が働きかけたからこういう風に変わったんだっていう、自分が社会の一員であるっていうことを強く感じられるチャンスだと思っています。自分の役割をしっかり肌で感じられるっていうのがまちづくりのすごくいいところだし、もっと広がったらいいなって思ってます。


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いかがでしたか?満員のトークイベントは高校生や大学生からも質問があり、これからのまちづくりへの期待や関心を寄せる人たちが集っていました。寺井さんからはMAD Cityの内訳公開もあり、佐賀県武雄市での新プロジェクト『TAKEO MABOROSHI TERMINAL』への言及もありと、賑やかで示唆に富む会となりました。自分の住むまちを楽しくしていくのは自分だよと、ゲストの3人にエールをもらった気がします。次回の企画も楽しみにされていてくださいね!

 

ReTHINK FUKUOKA PROJECTについて
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブでエネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。


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