RethinkFUKUOKAProject

東川スタイル×糸島スタイル それぞれの移住者とReTHINKする これからのまちづくりのあり方

ReTHINK FUKUOKA  PROJECT イベントレポート06

アナバナではReTHINK FUKUOKA PROJECTの取材と発信のお手伝いをさせていただいています。

 

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移住先として人気の高い、北海道は東川と福岡の糸島。移住者だからこそ感じられるそのまちの「らしさ」や「スタイル」とも呼べるものは、どのようにつくられていくのでしょうか?

「ReTHINK FUKUOKA PROJECT」トークイベント第6回目の今回は、2つのまちの「スタイル」を紐解きながら、これからのまちづくりのあり方や方法をReTHINKしました。

数は8000と少ないながらもこの20年の間に人口が14%増加し、60を越える小商いのお店が営まれているという不思議なまち・東川。ゲストはそんな東川の軌跡と今を『東川スタイル』という1冊の本にまとめた編集者末澤寧史さんと、東川町役場の菊池さんを迎えました。糸島からは、ご自身も移住して10年が経つという九州大学大学院統合新領域学府教授の坂口光一さん。そして2つの地域どちらにも移住経験があり、現在東川町でオーガニックカフェを営む桐原紘太郎さんを迎え、福岡移住計画の須賀大介さんがトークを進めます。

なんでも東川と糸島には、共通点も多いよう。移住者を惹き付ける両地域の魅力とは、そして改善すべき点とは何なのでしょうか?内容を一部抜粋してお伝えします。 RFP6-2

 

東川らしさの追求は「写真のまち宣言」がきっかけ

須賀 まずは東川スタイルのほうから、末澤さんと菊池さんにお話を伺いたいと思います。

末澤 皆さん、そもそも東川ってどこにあるかわかりますかね?

菊池 ちょうど北海道の中心ですね。旭川市はご存知だと思うんですが、東川はそこから15、6キロほど離れたところにあります。

末澤 関係性としましては旭川と東川の関係が、福岡と糸島の関係に少し似ているところがあると思われます。今回この書籍『東川スタイル』を作っていく過程で、「東川らしさ」ってなんだろうっていうことが焦点になりました。まちの方から色々と話を聞いていると、「これが東川らしいんだよね」とか「東川らしくないんだよね」ということがすごく語られるんですよ。そういう発想が自然に言葉としてでてくることに、非常に驚きました。

菊池 東川の人が東川らしさを考える1つのきっかけになったと言われているのが、1985年の「写真のまち」宣言です。写真で町おこしをやろうという発想だったんですけど、単純に30年前に写真で町おこしって言ったって、何?っていう世界ですね。それが町民にも理解されるようになったのが、10年後くらいに始めた「写真甲子園」です。

須賀 写真甲子園?

菊池 全国の高校生を選抜で東川町に集めて、3,4日にわたって町民を撮りまくるんです。そしたら町民はいい笑顔をつくろうとか写真うつりのいいようにしようとか、努力するわけですよ。それを重ねていくことによって、すっかり町民も写真のまちということを自信を持って言えるようになった。

末澤 今でいうアーティスト・イン・レジデンスみたいな話ですよね。

菊池 そうですね。

末澤 こうした形で東川らしさとは何かということを町民の方自身が考えてどんどん追求していったんですね。今は東川をアウトドアのまちにしようとかですね、いろんな方々が独自に多様なくくりをされています。

菊池 外から見るといろんな東川らしさを追求しているように見えるんですけど、内にいると誰も追求してないですよ。「外から見るとそう見えるのだ」という発見を10年20年と積み重ねることで、町民の中でも「らしさ」が作り上げられたのかなという気がします。 RFP6-3

 

「内ものさし」でまちの価値基準を共創しよう

 須賀 僕は糸島に移住して4年が経ったんですけども、地域に迷惑をかけながら怒られながら、あっという間でしたね。糸島に住んで12年弱になるという坂口先生は、去年総務省ふるさとテレワークの「糸島スタイル」という事業で、「ジモト学」を開かれました。そのお話を聞かせてください。

坂口 まず糸島市は「糸島ブランド」ということで、もう、ほぼイメージが確立されているんです。テレビのチャンネルを回せば糸島の番組をやっていて、カフェなんてしょっちゅう出てますよね。そういうメディアのつくったイメージを持って、「移住できれば糸島に」という人が非常にたくさん来られます。でも、理想と現実っていうのは相当開きがあって、やっぱりいろんなトラブルがあるんです。

須賀 そうなんですよね。

坂口 はい。それで、賢く上手に地域に入っていく方法を一緒に考えていきましょうということで、「ジモト学」というのをやってたわけです。そこでは移住者が地元の長老たちと一緒にワークショップをしたり昔話をしながらまち歩きをしたりして、仲良くなっていくんですね。こういう世界を含めて移住というのをイメージされていくと、とても面白いことになっていくかと思います。メディアがつくった情報だけで判断すると右往左往するので、外ものさしではなく内ものさしで地域をはかるのが重要だと思いますね。

(ここで会場からも質問が)

須賀 会場の皆さんすごく頷かれていましたが、質問がある方はどうぞ。

会場A 元々そこにずっといる人がその土地を見る時のものさしと、外から来た人がその場所で見るものさしって違うと思うのですが、坂口さんのおっしゃる「内ものさし」とはどちらを指しますか?

坂口 そこはお互いの会話の中で重なるものを大事にしていきたいと思います。地元の人と移住者とはそれぞれに文化が違うけれども、生活価値を共創して磨いていくというようなイメージですね。

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東川の人気物件は数十分で決まる⁉

須賀 桐原さんは今日のメインのゲストなんですけども、糸島と東川でダブル移住されてる方って他にいないでしょう?

桐原 まあ、いないですね、自分の周りには。

須賀 もともとは東京のデザイン事務所にいたんですよね。

桐原 そうですね。その時はやっぱり消費中心の生活と言いますか、昼夜問わず仕事をしていました。東京を脱却して糸島でどういう暮らしをしたかったかというと、シンプルな暮らしをしたいなというふうに思ったんです。なるべく自分たちでものをつくって、何かあったとしても生き残れる力をつけたいなと思ったのが移住のきっかけですね。

須賀 うんうん。

桐原 結局は結構急ぎ足で糸島を離れることになるんですけども、嫁さんと子どもで北海道をぐるぐるまわっていた中で東川をたまたま見つけたんです。今やってるカフェも家もとんとん拍子で決まっていって、再び開業しましょうっていう流れになりました。

須賀 それは去年の秋から?

桐原 ですね。僕たちから見る東川と糸島の共通点って何があんのかなと思ったんですけど、まずは大都市圏に隣接してること。空港が近くて、東川の僕の家からは10分で行けます。あとはやっぱり大自然。そしてユニークな人々が集うまちっていうのが、僕たちの思う共通点です。そして共通の改善すべき点なんですけども、まずは住まいの確保の問題です。東川はいい条件の物件が出ると数十分で決まっちゃうんですよ。

須賀 すごいね!地元の紹介で物件が流通することってやっぱりある?

桐原 それはあると思いますね。僕たちも地元の人に直で聞いたりしました。

須賀 それだけやっぱり地元に入っていくのが重要ってことでもありますね。

桐原 そうそう。あとはね、やっぱり自然が豊かな両地点なんで、環境への更なる配慮っていうのが必要なんじゃないかなと僕は思います。僕たちの子どもの世代っていうのはやっぱり僕たちよりもいい環境で育ってほしいし、そういったことを楽しさを持って伝えていけるような土壌づくりに貢献できたらいいなあって思っています。

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いかがでしたか?坂口さんがおっしゃるには、地元の方と新しい住民、そして外からの客人とが折り合うことで新しい”ジモト”の概念が作られるのだそうです。そのまちらしいスタイルとは、外から入ってきた移住者にこそ明確に見えてくるものがあるのでしょうね。「ReTHINK FUKUOKA PROJECT」では、今後も福岡、そして全国から様々なジャンルのゲストをお呼びしたトークを開催していきますよ。ぜひ足を運ばれてみてくださいね。

 

ReTHINK FUKUOKA PROJECTについて
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブでエネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。


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