みなさんはお料理のおダシ、ちゃんととってますか?
ついつい出汁パックに頼りがちですが、さりげなくおダシをとれると、なんか料理上手っぽくていいよね、なんて思っていたところ、海産問屋博多三徳さんの3代目・上田江美子さんのおだし教室が開かれるということを知り、さっそく参加してきました。
江美子さんは、博多で57年続く老舗の海産問屋の若き後継者として日々奮闘中。食の大切さを伝えていきたい、との思いから、簡単にできるおダシのとり方とおダシを使ったレシピを教える『おだし教室』やつくり手が「本当においしいものを届けたい」という思いを持って大切につくられたものを集めた『博多朝マルシェ』など、様々な活動をされています。そんな江美子さんが教えてくれるおだし教室とはどんなものでしょう?わくわくしながらレポートします。
荒節と本枯節の違いって?鮮度のよいいりこの選び方は?おダシのいろはを学びます
ダシと言えば、鰹節、昆布、いりこ。この3つの素材の基礎知識や選び方などを教えてくださいました。
まず、鰹節。
博多三徳さんでは鰹節を取り扱っていないので、あまり詳しくないんです、と言いながら、江美子さんのお話には知らないことがたくさん!
鰹節でよく耳にするのは、「荒節」と「本枯節」。
荒節は、脂が分解されていないので、甘味が強く味がしっかりと出るのだとか。西日本では、荒節のおダシが好まれるのだそうですよ。馴染みのある花カツオは荒節を削ったもの。
本枯節は脂が分解されているのですっきりと上品な味わい。なんと、本枯節は発酵食品なんだそう。知らなかった~!手間がかかる分高価で手に入りにくいので、普段から使う機会はなかなかありませんが、発酵食品には活性酸素が増えるのを抑えたり、肌荒れの改善にも効果があるというから、いつかは味わってみたいものです。
昆布には天然ものと養殖ものがあります。天然ものの方がよいものだと思いがちですが、そうとは言い切れないようですよ。
天然ものの昆布は、自然の環境に左右されて品質が安定せず、見極めがむずかしい一方、養殖ものは手間をかけて管理しているので質も量も価格も安定しているので、選ぶ時に失敗しにくいそう。
昆布は、茎の部分からおダシが出るので、なるべく厚みのあるものを選ぶのがポイントだそうですよ。
ふむふむ、これでよい昆布を選ぶことはできそう!
表面に白っぽい粉がついているの、あれって汚れだと思ってごしごし拭いていたけれど、実は旨味成分なんですって。しまった、今までおいしいとこを落としてしまってました~!乾いた布でさっとなでるくらいでいいそうです。はい、次回からはそうします!
いりこには大きく分けて2種類あります。近海で獲れるイワシでつくった白口いりこと沖の方で獲れたイワシでつくる青口いりこ。どちらも同じカタクチイワシでつくられるのですが、加工するときの鮮度の違いで異なるものになるのだそうです。
白口いりこは、漁場が近海なので加工時の鮮度がよく、頭やお腹までおいしいのですが、漁獲量が少ないため、なかなかお目にかかる機会が少ないのだとか。実際に1本食べてみましたが、苦味がなく、美味しく食べられるので、おやつ代わりにポリポリしちゃいそう。
一方、青口いりこは、沖で獲るので加工するまでに時間が経ち鮮度が落ちてしまうため、頭やお腹は苦味が出てしまうそう。だから頭とお腹を取って使うのですね。
できるだけ鮮度のよいものを選ぶポイントも教わりました。頭やしっぽがとれていたり、背中が割れていたり、お腹がボロボロになっているものは、鮮度がよくないイワシでつくられたものなので、そうじゃないものを選びましょう。
さらに、脂がまわって酸化してしまうとお腹が黄色っぽくなってしまうそうなので、色の違いも要チェックですね!
煮物に南蛮漬けにスープ、冷やし中華まで!お出汁を使ったレシピを学びながら、おいしいご飯も楽しみましょう。
江美子さんのおだし教室のよいところは、おダシを使ったお料理の簡単レシピが手に入ること。これがあれば、すぐにお料理上手になれそうです。
さらに、おダシを使ったお昼ご飯つき!江美子さんは、おダシのとり方を実演しながら、何種類ものお料理を作っていきます。この日のメニューはざっと数えて13品もありました。これだけの品数をぱぱっとつくっちゃう江美子さんってすごい!
参加したみなさんと食卓を囲みながら、江美子さんから新情報。
濃いめにつくっためんつゆに酢とごま油と砂糖を入れると、冷やし中華のつゆになるそうです。めんつゆをアレンジして冷やし中華ができるなんて、ちょっとびっくりです!
これで明日からおダシ上手!江美子さんのおだし教室はお料理上手へのヒントがいっぱいでした。
江美子さんのおだし教室は、月に2回くらい行われています。すぐに満席になってしまうほど人気の講座なんですよ。おダシのとり方はもちろん、素材の選び方、保存の仕方、アレンジの仕方などなど、おダシ上手へのヒントがたくさん詰まった講座でした。
どの素材もそうですが、良質なものは少しお値段が張るけれど少ない量できちんとおダシが出るので、結果、お得になるのかもしれません。
思ったより簡単にできそうだし、素材の見分け方も教わったし、きちんとおダシをとって、お料理上手宣言できる日は近いかも!
(編集部 トゴウ)
博多三徳の江美子さんは、昨年11月の穴バー「博多の鮮魚バー」を一緒にひらきました。こちらの記事も合わせてご覧ください。
https://anaba-na.com/anabar-event/201511_01