福岡市城南区別府の住宅街で
なにやら森へと誘う入り口を発見しました。
木立を揺らす、心地よい風を感じながら下ると…
梅・桜・びわ・あんず・栗などの木々に囲まれた、600坪の空間が広がります。
「宅老所よりあい」の職員と仲間たちが土曜日だけ開く、森のいちにちカフェです。
”住み慣れた町で最後まで自分らしく暮らす”
”顔見知りがたくさんいる落ち着ける場所で、穏やかに寿命を迎える”
そんな当たり前の願いや生活を“できるだけ支援する”施設「宅老所よりあい」は、現在、市内に三ヶ所。今後も増やすことを目標に資金づくりを行なっていて、この森のカフェもその一環です。
高齢化の進む町で、お年寄りを孤立させないよう”よりあう場”をつくる試み。
私も、その”老いや死”に対する考え方、プロジェクトの志に共感し、この場所をたびたび訪れるようになりました。
「森の中のカフェ」という形をとることで、さまざまな世代の人が気兼ねなく訪れ、交流しやすい場となっています。
そして、このカフェや「宅老所よりあい」を支えているのもまた、さまざまな人達。お年寄りの家族はもちろん、建築家、大学の先生、他の介護施設で働く専門職、地域の人々、マスコミ関係者、なんだかわからないうちに手伝うことになった人などなど……それぞれの得意分野を活かし、ここを運営しているというお話でした。
「自分にできることでお手伝いしてみたい」という方は随時、歓迎されているようです。
<よりあいの森をつくる会>
建物は、築60年の日本家屋をそのまま移築し、改装したもの。どこか懐かしい雰囲気は、居心地良く、不思議な魅力を感じさせてくれます。
ただ古いのではなく、テーブルの上のガラス小瓶ひとつとっても、心くすぐられるものが選びとられているからでしょうか。このカフェが目指されている、さまざまな世代の人が集まりたくなる空間になっているのが分かります。
職員さんが手間暇かけて作る「自家製ジャム」が人気だそう。
この日は、色がキレイないちじくのジャムを頂きました。
時が止まったかのようなゆったりとした空気を感じる一方で、”老いや死”への取り組みは、真摯であり、“前向きでやさしいコミュニケーションの場”という印象。こういった場所がもっともっと知られてほしい、増えてほしいと感じます。私にもできることを考えていきたいと思います。
志は高くも敷居は高くないので、土曜日の昼下がり、ふらりと遊びに行ってみてください。
癒しとぬくもり、少しの気づきをくれるアナバです。
(タハラ)
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宅老所よりあい
今年で22年目。現在、中央区地行、南区桧原、そして「よりあいの森」がある城南区別府の3カ所で、お年寄りの介護を行なっている福祉施設。
お年寄りが”住み慣れた町でありのままに伸び伸びと暮らすことができるように”との想いで、職員・家族・地域の住民が一緒になって過ごすことのできる空間をつくり、今後も増やしていく予定。お手伝いしたいという人も歓迎している。
http://yoriainomori.com/?page_id=28
『よりあいの森カフェ』
土曜日のみ営業
午前11時30分〜午後4時
〒814-0104 福岡市城南区別府7-9-21
市営地下鉄七隈線「茶山駅」下車、徒歩5分
電話:092-845-0200
http://yoriainomori.com/?page_id=306