福岡市東区の九州産業大学近くにあるカフェ「Edomacho(エドマッチョ)」で行われた“美JYO会”におじゃましてきました。“美JYO会”とは、現在第一線で活動している様々な業界の方々をゲストに招いたトークショー形式のイベント。
吉永拓哉さん、よしながこうたくさん、YURIさんのアーティスト3兄妹が経営するカフェでひらかれるこの会は、すべての活動がアートに通ずるというYURIさんとともに、様々なかたちでアートを体現する人々のお話を伺う人気のイベントです。
今回は、太宰府天満宮の40代目権宮司である西高辻信宏(にしたかつじ のぶひろ)さんをゲストに『過去と未来を繋いで〜太宰府天満宮とアート〜』というタイトルで開催されました。
実はいま、太宰府天満宮は九州の一大アートスポットとなっており、その仕掛人が西高辻さんなのです。
高校生のときに出会った美術の先生から、「ものを違う視点から考えてみるということを学んだことをきっかけに美術に興味を持つようになり、東京大学で美術史を専攻。現在は権宮司を務められるとともに、太宰府天満宮での現代アート展も企画されています。
作品をつくるアーティストや同時代に生きる人々にとって価値があることだけではなく、未来に残せるものを展示していきたいという想いのもと、日本の代表的な現代美術家・日比野克彦さんや国内外の気鋭の若手アーティスト、ノルウェーの人気テキスタイルブランドmarimekkoなど幅広い展示がこれまで行われてきました。難解だと思われがちな現代アートですが、ワークショップをとり入れたりや国宝を使ったインスタレーションを1日限定で公開するなど、多くの人々が楽しめるよう工夫されています。
トークショーでは、これまでの展示の様子を作品の解説とともにスライドで紹介してくださいました。人々に大切に守られ伝承されてきた歴史ある場所に突如出現した現代アート作品の数々は、不思議な調和をもって太宰府天満宮の新しい魅力となっています。きっとこの作品たちも太宰府天満宮の一部として後世に受け継がれていくでしょう。
(■太宰府天満宮のウェブサイトには、サイトのメニューに“アート”という選択項目があるほど。)
ご自身の役割を、「先人たちがつないできたものを未来につなぐことであり、駅伝の走者のようなもの。自分が担当する区間を全力で走り、より良いかたちで次の走者にわたすこと」と話す西高辻さん。現代アートプロジェクトのほかにも、未来を象徴する存在でもある太宰府幼稚園の園児たちに、和菓子を通じて「日本」を伝えるプロジェクトなどを行っているそうです。
100年先、1000年先に伝えていくための「未来への種まき」という西高辻さんの言葉に、ひとりの人間の一生という時間軸を超えてものごとを考え、 残していこうとすることもひとつのアートではないだろうか、と感じる時間でした。
イベントは超満員、皆さん興味深く西高辻さんのお話に聞き入っていました。九州産業大学が近いせいか、学生さんの姿も目立ちました。トークが終わったあとも西高辻さんと参加者の間で交流が行われるなど、和気あいあいとした雰囲気。
偶然にもこの日は西高辻さんのお誕生日の前日。YURIさんとYURIさんのお母様による カラフルなARTケーキがサプライズで登場し、参加者の皆さんでお祝いしました。赤い鳥居や梅の花、宮司さんのクッキーののった力作で、食べるのがもったいないくらい。
次回美JYO会はまだ詳細未定ということですが、決定次第WEBでお知らせされるそう。次はどんな方のどんな話が聞けるんだろうと楽しみです。
(コウモト)
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西高辻信宏(にしたかつじ・のぶひろ)
福岡県生まれ。久留米大学附設高等学校から東京大学文科三類に入学、文学部歴史文化学科(美術史学)卒業。國學院大學大学院文学部神道学科に進学し、神主資格取得後、太宰府天満宮に奉職。その後、ハーバード大学ライシャワー研究所の客員研究員を二年間務め、2010年に帰国。現在、福岡県の太宰府天満宮の権宮司を務める。
太宰府天満宮 http://www.dazaifutenmangu.or.jp/
cafe Edomacho
福岡県福岡市東区松香台2-1-3-102
TEL 092-672-1764
営業時間 10:00〜19:00
http://www.edomacho.com/cafe/