RethinkFUKUOKAProject

世界のトップバリスタと日本のトップITエンジニアが考えた、 コーヒー×テクノロジーのおいしいブレンド

ReTHINK FUKUOKA  PROJECT イベントレポート07

アナバナではReTHINK FUKUOKA PROJECTの取材と発信のお手伝いをさせていただいています。

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2016年6月29日(水)、福岡・天神のRethink Booksは、なにやらお祝いムード。そのわけは、福岡のコーヒーショップ「REC COFFEE」を営む岩瀬由和さんが、世界最高峰のバリスタ競技大会「ワールド バリスタ チャンピオンシップ(WBC)」で準優勝し、帰国後最初の登壇だったから。

押しも押されぬ世界のトップバリスタの仲間入りを果たした岩瀬さん。この日は、株式会社フリークアウト執行役員兼ヤフー株式会社シニアフェローであり、日本のインターネット広告を牽引してきた明石信之と一緒に、トークショーに参加しました。テーマは、「コーヒー×テクノロジー」。進行役には「ReTHINK FUKUOKA PROJECT」を手がけるTABI LABO代表の久志尚太郎さん、そして福岡に美味しいコーヒーを広める活動を展開しているClick Coffee Works主催の古賀由美子さん。さてさて、どんな話が飛び出すのやら!? 当日のトークの模様を一部抜粋してお伝えします。

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“美味しさ”はどうやって数値化する!?

久志 まずは、(岩瀬さん)準優勝おめでとうございます!

古賀 バリスタ世界一を決める競技会に、日本代表として2年連続で出場し、今年はさらに準優勝! 素晴らしい結果ですね。

岩瀬 ありがとうございます!
(会場からも大きな拍手)

久志 さて、今日のテーマは、「コーヒー×テクノロジー」です。テクノロジーって、これまで食の分野とは交わりにくいイメージでしたが、最近は変わってきましたね。東京では、AI(人工知能)でメニュー開発しているスイーツショップが美味しいと評判になったりもしています。世界中のコーヒーシーンを見ている岩瀬さんから見て、コーヒーとテクノロジーの関係について、どう感じていますか?

岩瀬 コーヒーは、焙煎や抽出の過程で機械を使うので、もともとテクノロジーとの親和性は高いと思いますよ。最近は、コーヒーの世界でも数値化が進み、コーヒーに使う水の硬度やpH、水中に溶けている濃度 (TDS)なども計測できるようになりました。でも、数値化できないものもあって、それは“美味しい” という感覚です。

久志 なるほど。

岩瀬 “美味しさ”を測る「酸味」「甘味」「苦味」などの評価軸を使って、うまく数値化して共有できたら、スタッフのトレーニングにも役立てると思うんですが、そんなことって可能なんでしょうか?

明石 “美味しい”は人によって違いますから、誰にとっても美味しい究極のレシピというのは、ありえないんでしょうね。科学の実験のように、コーヒー豆と水とのブレンドの具合を数値化して、均一に作ることはできると思いますけど、それがいつも美味しく感じるかというと、そうとは限らない。

岩瀬 そうですね。その日の天気やお客さんの状態を見極めて、最適の味に調整して出す、それが人間であるバリスタが担える役割ですからね。

久志 実は僕も一時期、バリスタを目指して「デル・ソーレ」の横山千尋さんに弟子入りしたことがあって、同じことを教わりました。バリスタの世界の奥深さを知りましたね。

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テクノロジーを恐れるな

久志 僕たち人間は、まだまだテクノロジーとの付き合い方が下手くそだと思うんです。先日、囲碁の世界でもグーグルの人工知能「アルファ碁」が人間に勝って話題になりましたね。すると、テクノロジーが人間にとっての脅威のように感じてしまう。でも、人工知能と戦うことで、新しい発見があり、人の能力も上がるんです。

古賀 私はスターバックスで13年間働いていましたが、その間にスターバックスのエスプレッソマシンはセミオートからフルオートに変わり、ボタンひとつでコーヒーを抽出できるようになりました。それを、味の違いや個性が出せなくなったと嘆いたバリスタもいたんですが、一方で接客できる時間は増えました。自分次第で、お客さんをより満足させられるようになったとも言えます。

明石 テクノロジーには、人間にとって代わるものとしてテクノロジーと、人間を生かすためのテクノロジーがあると思います。例えばスターバックスでは、新しく立ち上げた「リザーブ」ラインでクローバーというハイテク・エスプレッソマシンを導入しています。これで、全国の店舗でその日に淹れたコーヒーの細かなレシピを、データセンターに一括で吸い上げて管理しているそうです。

岩瀬 もうそこまで進んでるんですか! それは知りませんでした。

久志 こんな風に、現実世界とエンジニアリングの世界は密接に繋がってきています。エンジニアリングを、インターネットの中だけにとどめておくのは、もったいないですよね。

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世界に広がるコーヒーカルチャーが
福岡から生まれる!?

久志 福岡は、レベルの高いコーヒーショップが多くありますが、世界進出までは至っていないですね。福岡から世界に広がるコーヒーカルチャーを生んでいくためには、何が足りないと思いますか?

岩瀬 ポテンシャルはあると思いますよ。福岡の人は味覚も優れているし、それを適切な価格で買う感覚もあります。ただ、コーヒーはカルチャーとして徐々に根付いてきていても、まだビジネスとして成長できていないですね。コーヒーに限らず、何かをビジネスに転換して、関わる人みんなが潤っていく大きなサイクルを作ることが上手ではないし、そうしようという意思を持って動いている人も少ない。そうしないまま、自分たちの自己満足の範囲で楽しくやっている、というケースが多いと感じています。

久志 とても深い指摘ですね。僕から見ると福岡は、例えば明太子のように、加工して価値を加えて新たに展開するのが上手な街だと思います。だから、コーヒーに何を掛け合わせるかが重要。コーヒーと屋台を掛け合わせたコーヒースタンドなんて、どうでしょう?

明石 そこにテクノロジーを加えたらいいんじゃないですか。福岡のコーヒーカルチャーの良さを分析して、店舗数を増やしても、その良さを安定して提供できる仕組みを作るとか。

古賀 いいですね。

明石 最近はハッカーズバーといって、エンジニアが常駐していて仕事の相談ができたり、簡単なプログラムを作ってもらったりできるカフェやバーが流行っているんですよ。このコーヒースタンドも、それができたらさらに面白いですね。
久志 おおっ、盛り上がってきましたね! この話、打ち上げの席で早速詰めていきましょう!

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いかがでしたか? この他にも、「お客さんが自分でコーヒーを淹れられる店があったら行きたい!」「ディアゴスティーニのように毎週岩瀬さんのレシピが届く本が欲しい!」など、ユニークな意見が続々飛び出し、会場はさながら企画会議のよう。示唆に富んだ内容に、来場者も身を乗り出して、真剣に耳を傾けていました。

さてさて、次回の「ReTHINK FUKUOKA PROJECT」はどんなテーマを“ReTHINK”していくのでしょうか。今後の展開に、ご注目ください。

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「祝!銀メダル! バリスタ世界大会で準優勝を果たした岩瀬由和さん、 帰国後の第一声レポート!」
http://hash.city.fukuoka.lg.jp/news/archives/134

 

ReTHINK FUKUOKA PROJECTについて
コミュニケーションや働き方、ライフスタイルに大きな変化をもたらしている福岡。新しい産業やコミュニティ、文化が生まれるイノベーティブでエネルギッシュな街となっています。
そのチカラの根底には、この街に魅力を感じて、自らが発信源となっている企業や人がいます。
ReTHINK FUKUOKA PROJECTは、「ReTHINK FUKUOKA」をテーマに、まったく異なるジャンルで活躍する企業や人々が集い、有機的につながることで新しいこと・ものを生み出すプロジェクトです。


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