やました農園

豊かな土と腸内の条件はそっくり? 微生物のびっくりな話〜腸内フローラ後編〜【やました農園日記05】

豊かな土と腸内の条件はそっくり? 微生物のびっくりな話〜腸内フローラ後編〜【やました農園日記05】

いよいよ、いちごがなり始めましたー。白い花にミツバチが遊ぶ姿は、ただただ感無量。言葉にならない。
そんな胸いっぱいの気持ちを微塵も反映させない今回のテーマは、『腸内フローラ ~後編~ 』! そう、4ヶ月も前の前編の続きです~ 夏休みの宿題を冬休み明けに提出!って感じでしょうか。
誰も覚えてなくったって、『前編』の後には『後編』が続くもの。
これで完結!閉店ガラガラー お付き合いくださいませ~


11月始めに、もう赤いいちごが…この苗は、ベテラン農家さんから分けてもらった『さがほのか』。小粒ながら、さすがの安定感!うちで苗から育てた『あまおう』は、もう少しかかりそう。

畝の間の通路には、もみ殻を敷き詰めました。もみ殻は、無農薬無施肥のお米農家さんから頂きました。今年もありがとうございます。

今日は、大腸検査に来ていまーす!ただ今、控え室で待機中。大腸がすっからかんになるまで待ってるところです。下剤を、時間をかけてチビチビと、だけど大量に飲まねばならず、かなりキツイ。小さな部屋に4人、きゅきゅと座り、時々トイレに駆け込みつつ、テレビに映る『暴れん坊将軍』に気を紛らわせてもらいながら、もう長~いこと待ってます。
余談ですが、『暴れん坊将軍』って、将軍が一人で大勢をバッサバッサ切っとるとですよ。ひとつ間違えば、徳川幕府滅亡!?300年におよぶ太平の世が8代将軍で終わってたかも。危機一髪!あぶなか~

さて、大腸検査です。どうしてこんなことになったのかというと、2ヶ月以上続くひどい便秘に困り果てて受診したら「大腸カメラで見てみましょ。検査をきっかけに便秘が治るケースも珍しくないですよ!」ってことで、期待を込めて検査を受けることにしたからなんです。それに、腸の中を見られる機会なんてそうないですしね、楽しみ~
そもそも、なんで急にシツコイ便秘になったのか。ふだんから食物繊維はちゃんと摂っている、と思う。ストレス?確かにストレスは胃腸にくるというし、心当たりがないわけじゃない。でも、それにしては、食欲はいつも通り。腸内は渋滞でも、食いしん坊バンザイ!
だとするとやっぱり、あれかなー、加齢による腸内フローラの変化!?
腸内フローラは体全体に影響するというから、あちこちに不調が出てきても不思議じゃない。あら~、思い当たる~~
腸内フローラって、シワにも関係あるらしいんですよ。ある腸内細菌がコラーゲンを増やす物質を作っていて、この微生物が減っちゃうと、肌のハリがだんだんなくなって…あっ、ハリ、だいぶ減っとる。はは、ははは……
そういえば、腸内フローラは糖尿病とも深く関わってることがわかってきたらしい。インスリンの分泌を促す短鎖脂肪酸を作ってるのが腸内細菌で、この腸内細菌が減るとインスリンも減ってしまうのだとか。
そして、一番びっくりなのは、性格とか感情にまで影響してるってことでしょ。
臆病マウスと活発マウスの腸内細菌を入れ替える実験があって、高いところから飛び降りるまで、やたらと時間がかかる臆病(慎重)なマウスと、さっさと飛び降りるチャレンジ精神いっぱいの活発な(おっちょこちょいかもしれない)マウス。彼らの腸内細菌を入れ替えると、行動が逆に!元に戻すと、行動も戻る。何度やっても同じ結果になるんですってー。
他にも、コミュニケーション能力とか、うつの症状とか、腸内細菌とは関係なさそうな『脳』の働きにも大きく影響してるっていうから、一体どこまで広がるのか、腸内フローラ!

ならば腸内の菌ちゃんをまるごと取り替えてしまおうという『便微生物移植』っていうのがあって、アメリカでは2、3年前から特定の病気の治療として行われているらしい。アメリカだけでも年間1万人もの方が亡くなっていた難病の、なんと8~9割の患者さんが『便微生物移植』で回復されてるんですってよ。しかも、治療の数日後には、日常生活に復帰できたというから、その効果はまさに”劇的”!
どんな高度な移植手術かと思ったら、なんと健康な便を入れただけ!!なんでも、健康な人の便を100ccぐらいの水に溶かして、直接チューブで腸に流し込むのだとか!斬新、かつ潔さ100%!!!日本でも、臨床試験が始まっているそうです。待ち遠しいー
便の2分の1から3分の1は腸内細菌だっていうから、欲しいですよね、健康な便!そのうち”便マーケット”とかできて”便ビジネス”が経済をリードしたり…してほしくないな~

腸内フローラで大切なのは、腸内に微生物がたくさんいること、そして、いろんな種類の微生物がいることだそうですよ。これは、いい土、豊かな土の条件と全く同じなんですね!そりゃ~確かに、人間にとって都合の悪い菌もいるけれど、それだけが増えすぎなければ問題ない。それどころか、微生物全体の関わりの中で、その菌は大切な役割を担っているかもしれない。微生物の世界って、まだほとんどわかっていないんだそうです。
今は何かにつけて「除菌!除菌!!」の世の中。だけど、『除菌』の先に『安全』はあるんやろか。窮屈で、いびつ~な世界が、ちらっちら見えるような……
願わくば、腸内フローラをきっかけに、「微生物のおかげで、人間も動物も植物も生きていられるんやね。そもそも地球まるごと微生物で成り立ってるやん。お~っ、共生!」と心底思るようになったらいいなぁ。 そしたら、本当に世界が変わるかもー
ファンタジーでしょうか?『暴れん坊将軍』と、どっちがありそう?

そんなこんなで、お時間となりました。大腸検査、張り切って行ってまいります!


いちごの花、かわいいでしょ。 農作業株がいろいろと遅れている中、いちごが自力でがんばってくれています。ありがとねー。ミツバチが写せなかったのが残念。

乾燥が続いて、いちごにもダメージが。あれこれと知恵を絞って、湿度を上げることに成功!夕日に照らされた霧の中で作業するのも、なんだか楽しい。

(写真・文/やましたまなみ)

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